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新製品は特許と意匠のどちらで守る?違いと使い分けを弁理士が解説

新製品を出すときに、

「これは特許で守るべきなのか?」
「意匠登録の方が向いているのか?」
「両方取った方がいいのか?」

と迷う方は少なくありません。

結論からいうと、技術的な工夫や仕組みを守りたいなら特許、見た目やデザインを守りたいなら意匠というのが基本です。

そして、技術とデザインの両方に価値がある製品であれば、特許と意匠の両方で守るのが理想的です。

新製品には、いろいろな価値が含まれています。

例えば、

  • 新しい機能
  • 新しい構造
  • 新しい使い方
  • 特徴的な見た目
  • 独自のブランド名

などです。

このうち、どこをどの権利で守るのかを整理しておくことが、新商品を有利に展開するうえでとても重要です。

今回は、新製品を守るときに特許と意匠のどちらを選ぶべきか、その違いと使い分けを分かりやすく解説します。



新製品は「何を守りたいか」で考える

特許と意匠は、どちらも新製品を守るための大切な知的財産権ですが、守る対象が違います。

大きく分けると、次のように考えると分かりやすいです。

  • 技術・機能・構造・仕組みを守る → 特許
  • 見た目・形・外観デザインを守る → 意匠

つまり、

「この製品の強みはどこにあるのか」

を考えることが出発点になります。

例えば、使いやすくするための新しい機構や制御方法に特徴があるなら、まず特許を検討します。

一方で、商品の形や見た目そのものが差別化ポイントになっているなら、意匠登録を検討します。


特許で守るのは「技術的な工夫」

特許は、発明を保護する制度です。

ここでいう発明とは、簡単にいえば技術的なアイデアです。

例えば、新しいスマートフォンを出す場合であれば、

  • 中の回路構成
  • ソフトウェアの動作
  • 通信の仕組み
  • カメラの構造
  • バッテリー制御
  • 新しい機能の実現方法

といったものは、特許で守る対象になり得ます。

つまり、中身のテクノロジーです。

特許は、こうした技術的な工夫について、言葉で権利範囲を定めていくのが特徴です。

そのため、発明の本質をうまく捉えることができれば、比較的広い範囲で権利を取れる場合があります。

新製品の強みが、

「この構造が新しい」
「この仕組みが新しい」
「この機能の実現方法が新しい」

というところにあるなら、特許をまず考えるべきです。


意匠で守るのは「見た目のデザイン」

意匠は、物品などの形状、模様、色彩、またはそれらの結合による美感を保護する制度です。

簡単にいえば、見た目のデザインを守る権利です。

例えば、スマートフォンでいえば、

  • 全体のフォルム
  • 特徴的な形状
  • カメラ部分の配置デザイン
  • 細かい外観上の特徴
  • 独自の美しい外観

などが意匠の対象になり得ます。

極端な例ですが、三角形のスマートフォンや菱形のスマートフォンのように、明らかに外観に特徴がある場合は、意匠で守るイメージが分かりやすいでしょう。

もちろん、そこまで極端でなくても構いません。

製品の見た目に特徴があり、それ自体が商品の魅力になっているなら、意匠登録を検討する価値があります。


スマートフォンの例で考えると分かりやすい

新しいスマートフォンを開発した場合を例にすると、特許と意匠の違いは非常に分かりやすいです。

特許で守るもの

  • 新しい通信制御
  • カメラの内部構造
  • バッテリー効率を上げる仕組み
  • ソフトウェアによる処理方法
  • 独自の操作機能

意匠で守るもの

  • 本体全体のデザイン
  • 角の形状
  • カメラ部分の見た目
  • 背面デザイン
  • ボタンや枠の特徴的形状

つまり、

中身は特許、見た目は意匠

というイメージです。

この整理ができると、どちらを検討すべきかがかなり分かりやすくなります。


特許と意匠はどちらか一方ではなく、両方取ることも多い

ここは非常に大事なポイントです。

新製品を守るというと、

「特許か意匠か、どちらか一つを選ぶ」

というイメージを持たれることがあります。

しかし、実際にはどちらか一方だけとは限りません。

製品によっては、

  • 技術にも新しさがある
  • デザインにも特徴がある

ということが普通にあります。

そのような場合は、特許と意匠の両方で守るのがベストです。

例えば、

  • 折りたたみ構造そのものに新しさがある
  • 外観デザインも特徴的である

という製品なら、

  • 折りたたみ構造 → 特許
  • 見た目のデザイン → 意匠

という形で、別々の権利として押さえることができます。

守る範囲が違うので、両方取ることでより強く製品を保護できます。



特許の方が広く、意匠の方が狭いの?

初心者の方に説明するときには、

「特許は比較的広く取りやすく、意匠は外観ベースなので範囲の考え方が違う」

とお伝えすることが多いです。

特許は、特許請求の範囲という文章で権利を定義します。

そのため、発明の本質をうまく抽象化できれば、ある程度広く権利範囲を取れる場合があります。

一方で、意匠は見た目を前提とした権利です。

登録された意匠そのものだけでなく、それに類似する意匠にも効力は及びますが、やはり外観を基準に判断するため、特許とは権利範囲の考え方が異なります。

ですので、

  • 技術思想として広く押さえたい → 特許
  • 見た目の特徴を押さえたい → 意匠

という理解をしておくと分かりやすいです。


ブランド名は商標で守る

新商品を出すときには、技術やデザインだけでなく、名前も重要です。

例えば、

  • ブランド名
  • 商品名
  • シリーズ名

などです。

これらは、特許でも意匠でもなく、商標で守るのが基本です。

つまり、新製品を守るというときには、

  • 技術 → 特許
  • デザイン → 意匠
  • 名前 → 商標

という形で、守る対象ごとに制度が分かれています。

大事な新商品であれば、これらを組み合わせて守ることも十分考えられます。


新製品でよくある知財の組み合わせ

新商品では、次のような組み合わせがよくあります。

1.機能が売りの製品

→ 特許を中心に検討

2.デザインが売りの製品

→ 意匠を中心に検討

3.機能もデザインも強い製品

→ 特許+意匠

4.さらにブランド展開も考えている製品

→ 特許+意匠+商標

このように、どれか一つだけで考えず、製品の価値を分解して考えることが大切です。


迷ったら「両方の可能性」を見るのがおすすめ

実務上は、最初から

「これは絶対に特許だけ」
「これは意匠だけ」

と決めつけない方がよいことも多いです。

見た目が特徴的な製品でも、中に独自の構造があるかもしれません。

逆に、技術製品だと思っていても、外観に十分な特徴がある場合があります。

そのため、迷ったときは、

特許の可能性もあるか
意匠の可能性もあるか

を両方の視点から確認するのがおすすめです。

特に、これから主力商品にしたい製品や、模倣されると困る製品であれば、最初の段階で幅広く検討しておく意味があります。



どのタイミングで相談すればいい?

理想的には、公開前・販売前の段階で相談するのがおすすめです。

例えば、

  • 試作品ができた段階
  • 製品コンセプトが固まった段階
  • 販売前の準備段階
  • 展示会やクラファン公開前

などです。

特許や意匠は、公開前の対応が重要になることがあります。

そのため、

売り始めてから考える
よりも、
出す前に確認しておく

方が安全です。


まとめ:技術は特許、デザインは意匠。大事な製品は両方で守る

新製品を特許と意匠のどちらで守るべきか。

結論としては、次のように整理できます。

  • 技術的な工夫や仕組みを守りたい → 特許
  • 外観のデザインを守りたい → 意匠
  • 両方に価値がある → 特許と意匠の両方
  • ブランド名や商品名を守りたい → 商標

新商品では、技術とデザインの両方に特徴があることも多いため、どちらか一方だけではなく、両方で守るという発想がとても大切です。

特に、これから育てていきたい主力商品や、模倣されたくない重要商品であれば、早い段階で知財の取り方を考えておくことをおすすめします。

遠山総合特許事務所では、

  • 新製品は特許と意匠のどちらで守るべきか
  • 特許と意匠の両方を取れるか
  • ブランド名は商標も必要か
  • 販売前にどこまで押さえるべきか

といったご相談に対応しています。

製品の内容を確認しながら、どの知的財産権で守るのが適切かをご提案します。


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執筆・監修:弁理士 遠山敬一

https://toyamapat.com/about

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