ブログ

AIを使ったサービスは特許になる?生成AI・LLM・AIアプリの特許化を弁理士が解説

AIを使ったサービスを開発している方から、

「AIを使っているだけでも特許になるの?」
「ChatGPTやGeminiを使ったサービスでも特許は取れる?」
「自分でAIモデルを作っていないと特許にはならない?」

と聞かれることがあります。

結論からいうと、AIを使ったサービスは十分に特許になり得ます。

AI関連の発明自体は以前から特許の対象になっていますし、現在はChatGPT、Gemini、Claudeなどに代表される大規模言語モデル(LLM)や生成AIを利用した発明についても、実際に特許審査の対象になっています。

特許庁も2024年にAI関連発明の審査事例を追加しており、その中には、

  • 生成AIを使った自動応答生成
  • 大規模言語モデルに入力するプロンプト文を生成する方法

といった生成AI・LLMを前提とする具体例が含まれています。特許庁

つまり、

「生成AIを使っているから特許にならない」

ということではありません。

重要なのは、AIそのものだけではなく、AIをどのようにサービスやシステムの中で利用しているかです。



AIを使ったサービスでも特許になる

まず大前提として、AI関連発明は特許の対象になり得ます。

例えば、

  • 機械学習を使った予測システム
  • 画像認識AIを使った検査システム
  • AIを使った診断支援
  • AIによるレコメンド
  • 自然言語処理を使ったシステム

などは以前から特許出願されています。

そして現在では、生成AIや大規模言語モデルを使った発明も増えています。

特許庁はAI関連発明について、進歩性、記載要件、発明該当性などの審査事例を継続的に公表しており、2024年には生成AIに関する事例も追加しています。2026年時点でもAI関連発明についての審査資料は更新されています。特許庁

ですから、

「AIを使ったサービスなので特許は無理だろう」

と最初から諦める必要はありません。


ChatGPT・Gemini・Claudeを使ったサービスでも特許になる?

これも、可能性はあります。

よくある誤解が、

「ChatGPT自体はOpenAIが作ったものだから、それを使ったサービスは特許にならないのでは?」

というものです。

しかし、特許になるかどうかは、必ずしもAIモデルそのものを自社で開発したかどうかだけで決まりません。

例えば、

ユーザーから情報を受け取る
↓
入力内容を分析する
↓
LLMへ入力するプロンプトを自動生成する
↓
大規模言語モデルへ入力する
↓
出力結果を評価・加工する
↓
特定のサービスとしてユーザーへ提供する

という一連のシステムを考えてみます。

この場合、LLM自体は既存のものでも、

  • 入力情報の処理方法
  • プロンプト生成方法
  • AIへの入力方法
  • 複数のAIやデータベースとの連携
  • AI出力の評価方法
  • 出力結果の加工方法
  • 特定の業務への適用方法

などに独自の工夫があれば、発明として検討できる余地があります。

特許庁のAI関連事例にも、大規模言語モデルに入力するプロンプト文を生成する方法が進歩性判断の事例として取り上げられています。特許庁


「AIを使っただけ」と「特許になるAIサービス」は何が違う?

ここは非常に重要です。

単に、

「AIを使いました」

だけでは、特許としては弱い場合があります。

例えば、

ユーザーが質問を入力する
↓
ChatGPTへそのまま質問する
↓
ChatGPTの回答をそのまま表示する

だけであれば、どこに発明上の工夫があるのかが問題になります。

一方で、

ユーザーから複数種類の情報を取得
↓
入力情報を分析
↓
利用目的に応じてプロンプトを自動生成
↓
LLMから回答を取得
↓
別のデータベースと照合
↓
結果を評価・再生成
↓
特定の形式でユーザーへ提示

のように、システム全体に特徴的な処理があれば話は変わります。

つまり、

AIを使っていることそのものではなく、AIを使って課題をどう解決しているか

を見ることが重要です。



特許になるポイントは「AIそのもの」だけではない

AI特許というと、

「新しいAIモデルを自分で作らなければいけない」

と思われることがあります。

もちろん、独自のAIモデルや学習方法を開発した場合、それ自体が発明になる可能性があります。

しかし、実際にはそれだけではありません。

例えば、

入力処理

ユーザーからどのような情報を取得するか。

取得した情報をどのように整理・変換するか。

プロンプト生成

入力内容に応じて、LLMへ入力するプロンプトをどのように作るか。

AIとの連携

一つのLLMだけでなく、

  • 複数のAI
  • 社内データ
  • 外部データベース
  • RAG
  • 検索システム

などをどのように連携させるか。

出力処理

AIから得た回答を、

  • 評価する
  • ランキングする
  • 再生成する
  • 別形式へ変換する
  • ユーザーごとに最適化する

といった処理にも工夫が考えられます。

したがって、AIサービスの特許を考えるときには、

AIモデルだけを見るのではなく、システム全体を見る

ことが大切です。


オリジナルAIを作っていなくても特許になる可能性がある

自社で機械学習モデルを一から開発しているのであれば、そのモデル、学習方法、処理方法などに特許化できるポイントがある可能性があります。

しかし、現在多くのスタートアップや中小企業が開発しているAIサービスでは、

  • ChatGPT
  • Gemini
  • Claude
  • その他のAI API

など、既存のAIを利用しています。

この場合でも、

「既存AIをどう組み込むか」

に工夫があれば、特許化を検討できます。

これは、生成AI時代のAI特許を考えるうえで非常に重要なポイントです。


RAGを使ったシステムも特許になる可能性がある

最近多いのがRAG(Retrieval-Augmented Generation)です。

RAGでは、

ユーザーの質問
↓
関連する情報を検索
↓
検索結果をLLMへ入力
↓
回答を生成

という処理を行います。

ただ単にRAGを使っただけではなく、

  • どのデータを検索するのか
  • 検索結果をどう評価するのか
  • どの情報をLLMに渡すのか
  • プロンプトをどう生成するのか
  • 生成結果をどう評価・修正するのか

といった部分に独自性があれば、特許の検討余地があります。


AIサービスの具体例

例えば、次のようなサービスでも特許化を検討できる可能性があります。

  • AIチャットボット
  • AIコーチングサービス
  • AIによる診断支援
  • AIマッチング
  • AIレコメンド
  • AIによる営業支援
  • AIによる文章生成
  • AIによる画像生成
  • AIによる自動評価
  • RAGを利用した社内検索
  • AIエージェント
  • AIを利用したSaaS

もちろん、

「AIを使っているから特許になる」

わけではありません。

それぞれのサービスについて、従来技術との違いや技術的な工夫を確認する必要があります。


今は生成AI・LLM関連の特許を検討するチャンスでもある

生成AIや大規模言語モデルを利用したサービスは、比較的新しい分野です。

特許審査で新規性や進歩性を判断するときには、過去の特許文献などとの比較が重要になります。

成熟した技術分野では、過去の文献が大量に存在します。

一方、生成AI・LLM周辺は急速に発展しているため、テーマによっては従来技術の蓄積がまだ十分ではない領域もあります。

その意味では、現在は生成AIを利用した新しいサービスについて、特許化を積極的に検討する価値がある時期だと私は考えています。

ただし、

「AIだから簡単に特許になる」

ということではありません。

審査では通常の発明と同様に、

  • 新規性
  • 進歩性
  • 発明該当性
  • 記載要件

などが判断されます。特許庁もAI関連発明について、これらの観点を示す具体的な事例を公開しています。特許庁



AIサービスは公開前に特許を検討した方がいい

AIサービスを開発している場合には、サービス公開前に特許を検討することをおすすめします。

例えば、

  • サービスサイトを公開する
  • プレスリリースを出す
  • 展示会で説明する
  • SNSで仕組みを公開する
  • 営業資料で詳細を説明する

などによって、発明内容が公になる可能性があります。

日本には一定の条件で新規性喪失の例外規定もありますが、原則として特許は公開前に出願するのが安全です。

特にAIサービスは開発スピードが速いため、

「完成してから特許を考える」

ではなく、

サービスの仕組みがある程度固まった段階で一度特許性を検討する

という進め方がよいと思います。


どの段階で弁理士に相談すればいい?

AIサービスについて、

「まだシステムが完成していないから相談できない」

と思う必要はありません。

例えば、

  • サービスのコンセプトが決まった
  • 処理フローが決まった
  • AIをどのように使うか決まった
  • MVPを作り始めた
  • 公開前の段階

くらいでも相談できます。

むしろ、サービスをすべて完成させて公開した後よりも、設計段階で特許の可能性を確認する方が選択肢は広がります。


まとめ:生成AIを使ったサービスでも特許になる

AIを使ったサービスは、十分に特許になり得ます。

独自のAIモデルを作っている場合はもちろん、

ChatGPT、Gemini、Claudeなど既存のLLMを利用したサービスでも、

  • 入力処理
  • プロンプト生成
  • AIとの連携
  • データ処理
  • 出力評価
  • 出力結果の活用

などに独自の工夫があれば、特許として検討できる可能性があります。

重要なのは、

「どのAIを使っているか」だけを見るのではなく、「そのAIをどう使って課題を解決しているか」を見ること

です。

生成AI・LLMを利用したサービスはまだ発展途上の分野であり、新しいアイデアが次々に生まれています。

だからこそ、

「これは単にAIを使っているだけだから特許にはならないだろう」

と決めつけず、一度特許化できるポイントがないか確認してみることをおすすめします。

遠山総合特許事務所では、

  • AIを使ったサービスが特許になるか知りたい
  • ChatGPTやGeminiを使ったサービスを開発している
  • RAGやAIエージェントを使ったシステムを特許にしたい
  • 自社AIではなく既存LLMを使っているが特許になるか知りたい
  • サービス公開前に特許を検討したい

といった段階からご相談いただけます。

サービスの仕組みや処理フローを確認したうえで、どこに特許化できる可能性があるかを検討します。

執筆・監修:弁理士 遠山敬一

https://toyamapat.com/about

関連記事

  1. 知財戦略とは?会社の未来を守り、成長を加速させるための羅針盤【横…
  2. 特許ってなに?アイデアを守るための権利を徹底解説!
  3. 横浜で特許事務所を選ぶときの5つのポイント|弁理士が失敗しない選…
  4. 【億万長者への道】一番儲かる特許はこれだ!世界を変えた発明と巨額…
  5. えっ、これも特許なの?横浜の特許事務所が教えるあなたの身近にある…
  6. 【家事の革命】家事省力化の3大発明とは?私たちの暮らしを変えたス…
  7. 特許は儲かるの? 横浜の特許事務所がメリット・デメリットから成功…
  8. 【スタートアップこそ知財戦略を!】会社の未来を守り、成長を加速さ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP