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Amazonで相乗りされたとき商標権でどこまで対抗できる?排除できるケースと注意点を弁理士が解説

Amazonで自社ブランドの商品を販売していると、ある日突然、同じ商品ページに別の出品者が入ってくることがあります。

いわゆる「相乗り」です。

そのとき、

「商標登録しているから、すぐ排除できるのでは?」
「ブランド名を勝手に使っているのだから商標権侵害では?」
「第35類(小売)の商標でも相乗りを止められる?」

と考える方も多いと思います。

結論からいうと、商品そのものについて商標権を持っている場合、偽物や別商品が自社ブランドの商品として相乗りしているのであれば、商標権は非常に強い武器になります。

一方で、

  • 相手が真正品を販売している場合
  • 第35類(小売)の商標しか持っていない場合

は、少し話が複雑です。

単に、

「相乗りされた=必ず商標権侵害」

とは限りません。

まず確認したいのは「何を売っているのか」

相乗りされたときに最初に確認したいのは、

相手が実際に何を販売しているのか

です。

大きく分けると、次の2つがあります。

1.偽物・別商品を販売している

例えば、自社ブランド「ABC」の商品ページに相乗りしてきた出品者が、

実際にはABCではない別メーカーの商品や、偽物の商品を発送しているケースです。

商品やパッケージに自社の登録商標が無断で表示されているのであれば、商標権侵害を検討しやすくなります。

2.自社の真正品を販売している

一方で、相乗り業者がどこかから自社の本物の商品を仕入れ、それを再販売しているケースもあります。

こちらは、

「許可していない業者だから商標権侵害」

と単純には言えません。

ここを分けて考える必要があります。

偽物・別商品なら商品商標はかなり強い

自分が商品そのものについて商標登録している場合を考えます。

例えば化粧品、雑貨、衣類などの商品について、

ABC

という商標を登録している。

Amazonの商品ページにもABCブランドの商品として掲載している。

そこに第三者が相乗りして、ABCではない商品を送っている。

この場合、相手はABCというブランド表示を利用して別の商品を販売していることになるため、商標権侵害を主張できる可能性が高くなります。

Amazonには、商標・特許・著作権などについて知的財産権侵害を申告する仕組みがあります。Brand Registryに登録している権利者等は「Report a Violation」などを利用できます。

したがって、

商品商標を持っている
+
相乗り商品が偽物・別商品である

というケースは、相乗り対策としてかなり分かりやすいケースです。

Amazonもテスト購入を推奨している

問題は、

商品ページを見ただけでは、相乗り業者が何を送ってくるか分からない

ということです。

そこで有効なのが、テスト購入です。

Amazonの案内でも、商標侵害の申告について、商品またはパッケージに自社商標が使われているか確認するため、テスト購入を推奨しています。

購入後に商品を確認し、商標が不正に使われていることを確認した場合には、申告時に注文番号を追加情報として入力できる仕組みになっています。

これは私の実務経験とも一致します。

約1年半前になりますが、第35類(小売)の商標を持っていたお客様から、

相乗り業者の商品を実際に購入して内容を確認し、それをもとにAmazonへ申告した結果、相乗りを排除できた

と聞いたことがあります。

ただし、Amazonの運用は変更されることもありますので、

「現在も同じ方法なら必ず排除できる」

とまでは言えません。

それでも、相乗りされた場合には、

まず実際の商品を確認する

という考え方は非常に重要です。

本物の商品を売っている場合は話が違う

ここは注意が必要です。

相乗り業者が、

自社が正規に販売した本物の商品

を仕入れて再販売している場合です。

この場合、単に、

「私はその業者に販売許可を出していない」

というだけで、直ちに商標権侵害になるとは限りません。

Amazon自身も、無許可で相乗りしている出品者の商品が真正品である場合には、単に無許可であることだけを理由として偽物扱いすることはできないという趣旨を案内しています。

日本の商標法でも、真正品の流通については商標権侵害にならない場合があります。

特許庁も、一定の要件を満たす真正商品の並行輸入について、商標の出所表示機能や品質保証機能を害さない場合には商標権侵害に当たらないと説明しています。特許庁

したがって、

相乗り=商標権侵害

ではなく、

相手が何を売っているのか

を確認することが出発点になります。

「相乗り業者だから偽物」と決めつけない

Amazonの商品ページに突然他社が入ってくると、

「勝手に入ってきたのだから偽物だ」

と思いたくなるかもしれません。

しかし、これは危険です。

本当に自社ブランドではない商品なのか。

正規品なのか。

中古品なのか。

流通経路はどうなっているのか。

を確認する必要があります。

Amazon側も、商標侵害の申告では、

商品・パッケージ上の侵害なのか
商品詳細ページの画像・文章上の侵害なのか

など、侵害態様を特定して申告する仕組みにしています。

事実関係を確認してから申告することが大切です。

第35類(小売)だけの場合は少し複雑

次に、第35類(小売)の商標についてです。

以前の記事でも説明しましたが、第35類(小売)は、商品そのものを直接保護する商標ではありません。

特許庁は「小売等役務」について、

商品の品揃え、陳列、接客サービスなど、小売・卸売の過程で顧客に提供する総合的なサービス

と説明しています。特許庁

例えば、

商品の陳列、品揃え、販売のためのサービス

などについて使うブランドを守るイメージです。

そのため、

商品そのものにABCという商標が付いている

という商品商標のケースに比べると、

第35類(小売)だけで、

「この商品を勝手に相乗り販売しているから商標権侵害だ」

と主張する場合は、少し複雑になります。

第35類(小売)と商品商標は役割が違う

例えば靴を販売している場合、

第25類
→ 靴そのものについての商標

第35類(小売)
→ 靴を販売する小売サービスについての商標

という違いがあります。

第35類の小売等役務は商品と一定の類似関係が推定される場合もありますが、制度としてはあくまで小売サービスを保護するものです。

したがって、Amazonの相乗り排除という目的だけを考えるのであれば、

商品そのものについて商標権を持っている方が、権利関係は分かりやすい

と私は考えています。

「商品ページの配置」を第35類でどこまで守れるか

少し専門的な話ですが、第35類(小売)では、

顧客が商品を選びやすいように、

  • 商品を取りそろえる
  • 商品を見やすく配置する
  • 商品説明を提供する

といったサービスが小売等役務に含まれます。

Amazonの商品ページも、

商品写真を配置し、
説明を作り、
商品情報を構成し、
販売する

という点では、小売サービス的な要素があります。

そのため理屈上、第35類(小売)の商標が関係する場面はあり得ます。

ただし、

「自分が作ったAmazonの商品ページだから、そのページの配置そのものを第35類の商標権で独占できる」

ということではありません。

Amazonでは商品画像や説明の配置ルールがある程度決まっており、個々のセラーが自由にページ構成を作っているわけでもありません。

そのため、第35類(小売)での相乗り排除は、商品商標の場合よりも判断が複雑になりやすいと思います。

さらに、Amazon独自のプラットフォーム運用も絡んできます。

ここは、

商標法上どう考えるか

と

Amazonが申告をどう処理するか

を分けて考えた方がよいでしょう。

Amazonの運用と商標法は必ずしも同じではない

商標権侵害が成立するかどうかは法律上の判断です。

一方で、Amazonが商品ページを削除したり相乗り出品者を排除したりするかどうかは、Amazonのポリシーと申告手続にも左右されます。

そのため、

法律上商標権を持っている=Amazonが必ず即日排除してくれる

という関係ではありません。

逆に、商標権侵害そのものとは別に、

「商品詳細ページに表示されている商品と、実際に届いた商品が違う」

といったAmazonポリシー上の問題として対応できる場合もあります。

Amazon側も、テスト購入した結果、実際に届いた商品が商品詳細ページとは異なる場合には、ポリシー違反として報告する方法を案内しています。

相乗りされたら、まず何をする?

私は、いきなり侵害申告をする前に、まず次の順番で確認するのがよいと思います。

1.相乗りしている出品者を確認する

出品者名、価格、発送方法などを確認します。

2.何を売っているのかを確認する

可能であればテスト購入を行います。

3.届いた商品と自社商品を比較する

  • 商品そのもの
  • ブランド表示
  • パッケージ
  • 品質
  • 型番
  • 仕様

などを確認します。

4.証拠を残す

商品写真、パッケージ写真、注文番号、商品ページのスクリーンショットなどを保存します。

5.何の権利侵害なのか整理する

  • 商品商標の侵害
  • ページ上での商標使用
  • 偽物
  • Amazonポリシー違反

など、申告理由を整理します。

6.適切な方法でAmazonへ申告する

Brand RegistryのReport a Violationや、一般の知的財産権侵害申告フォームなど、状況に応じた方法を使います。

商品商標を取る意味は相乗り対策にもある

Amazon物販では、

「ブランド登録できればいいから第35類(小売)だけでいい」

と考えるケースがあります。

初心者でまだ商品ジャンルが固まっていない段階であれば、第35類(小売)には大きなメリットがあります。

私自身も、初心者のAmazonセラーには第35類(小売)を提案するケースがあります。

しかし、

売れる商品が決まり、専門ジャンルが固まり、自社ブランドを本格的に育てる段階

になったら、商品そのものについて商標を取る意味が大きくなります。

その理由の一つが、

模倣品や偽物、相乗りへの対応

です。

商品そのものについて商標権があれば、

「この商品にこのブランド名を付けて売ること」

を直接問題にしやすくなります。

ですから、

第35類(小売)
→ Amazonブランド登録や幅広い商品展開

商品商標
→ 商品自体のブランド保護、模倣対策

という役割分担で考えると分かりやすいと思います。

相乗り対策だけでなくブランド資産として考える

商品商標を取る意味は、Amazon相乗り排除だけではありません。

Amazon以外にも、

  • 楽天
  • 自社EC
  • 実店舗
  • 卸売
  • M&A・事業売却

などへ事業を広げるときにも使えます。

Amazonのルールは将来変わる可能性があります。

しかし、商標権はAmazonの内部ルールとは別の法律上の権利です。

その意味でも、売れ筋商品・主力ブランドについては商品商標をしっかり押さえておく意味があります。

まとめ:相乗り=即侵害ではない。まず商品を確認する

Amazonで相乗りされた場合、商標権は非常に有効な武器になることがあります。

ただし、

「相乗りされたから商標権で必ず排除できる」

と考えるのは少し危険です。

大きく分けると、

偽物・別商品
→ 商品商標があれば、商標権侵害として対応しやすい

真正品
→ 単に無許可で販売しているという理由だけでは、商標権侵害にならないことがある

第35類(小売)のみ
→ 商品商標よりも相乗り排除の判断が複雑になる可能性がある

という違いがあります。

だからこそ、相乗りされたときは、

まず実際に何が販売されているのかを確認すること

が非常に重要です。

必要ならテスト購入をして、証拠を確保したうえで対応を検討する。

これが基本になります。

遠山総合特許事務所では、

「Amazonで相乗りされた」
「商標権で排除できるか知りたい」
「第35類(小売)しか持っていない」
「商品商標を追加した方がいいか」
「知的財産権侵害の申告をしたい」
「相手の商品を購入したが自社商品と違っていた」

といったご相談にも対応しています。

商標権の内容、相手商品の状況、Amazon上の表示などを確認したうえで、対応方法をご提案します。

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執筆・監修:弁理士 遠山敬一

https://toyamapat.com/about

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