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商標登録について相談を受けていると、
「まだ小さい会社だから、商標は後でもいいですよね?」
「売上が大きくなってから取ればいいですか?」
「この名前をずっと使っていますが、今からでも取った方がいいですか?」
と聞かれることがあります。
もちろん、事業で使う名前を何でも片っ端から商標登録すればいい、という話ではありません。
一時的なキャンペーン名や、今後継続して使うか分からない名称まで、必ず商標登録する必要があるとは思いません。
ただ、長く弁理士として相談を受けてきて、
「この会社は早めに商標を取っておいた方がいい」
と感じるケースには、ある程度共通点があります。
一言でいうと、
その名前に、これから「お金・信用・顧客」を積み上げていく会社です。
その名称が使えなくなったときのダメージが大きい会社ほど、商標登録を早く検討した方がよいと考えています。
まず、店舗名を前面に出してビジネスをしている会社です。
例えば、
などです。
実店舗では、店名を決めると、
看板、外装、内装、ショップカード、メニュー、Webサイト、Googleビジネスプロフィール、SNS、広告
など、さまざまなところにその名称を使います。
ここまでお金をかけた後で、
「他社の登録商標と似ているので、その名前は使わないでください」
となると、変更コストが非常に大きくなります。
看板一つ変えるだけでも費用がかかりますし、すでにお客様に覚えてもらっている店名を変更すれば、これまで蓄積した認知まで失いかねません。
だからこそ、私は実店舗を始める会社には、できれば看板を作る前に商標を確認してほしいと思っています。

次に、特に早めの商標登録をおすすめしたいのが、フランチャイズ化を考えている会社です。
実際、
「今までは商標を特に考えていなかったけれど、これからFC展開したい」
という相談を受けることがあります。
フランチャイズでは、本部だけでなく加盟店も共通のブランド名・店舗名を使います。
1店舗のときならまだ変更できた名称でも、
5店舗、10店舗、20店舗と増えてから商標問題が発生すると、影響する人の数が一気に増えます。
本部だけの問題ではなく、
本部を信用して加盟してくれたフランチャイジーにも大きな迷惑をかける
ことになります。
フランチャイズ展開を考えているのであれば、
「この名称を全国で安心して使っていけるのか」
を早い段階で確認し、商標権をきちんと確保しておくことが重要です。
商標権を取得すると、指定商品・指定役務について登録商標を使用する権利を専有し、一定の類似範囲について他人の使用を排除できるようになります。特許庁
もう一つ重要なのが、自分以外の人にも名称を使わせるビジネスです。
例えば、
などです。
こうしたビジネスでは、一人で使っているうちは小さな問題でも、認定講師や受講生が増えるにつれて、その名称がどんどん世の中へ広がっていきます。
以前の記事でも紹介しましたが、メソッド名を多くの人に使わせた結果、広まりすぎて本人が後から商標登録しにくくなったケースもあります。
ですから、
「広がってから商標を取る」のではなく、「広げる前に商標を取る」
という順番が理想です。
自分だけではなく、多くの人に名称を使わせる予定があるなら、優先順位はかなり高いと思います。
海外メーカーの商品を、
などで販売するケースも、早めに確認した方がよいです。
海外メーカーから、
「本国では商標登録済みです」
と言われることがあります。
しかし、商標権は国ごとの権利です。
日本の商標権は日本全国に効力を持ちますが外国には及ばず、逆に海外で持っている商標権が、そのまま日本で効くわけでもありません。特許庁
そのため、海外ブランドを日本へ持ってくる場合には、
日本ですでに同一・類似の商標が存在していないか
を確認する必要があります。
もし日本ではその名称が取れないのであれば、場合によっては、
といった対応も考えます。
海外メーカーとの契約を進め、商品を大量に輸入した後で名称問題が発覚するより、日本展開を決めた時点で確認する方が圧倒的に楽です。
オンラインビジネスも、早めに商標を考えたい分野です。
例えば、
などです。
実店舗の場合は「看板の交換費用」が大きなリスクになります。
オンラインの場合は少し違って、名前が広がるスピードが非常に速いことがリスクです。
SNS、YouTube、Instagram、X、LINEなどで発信していると、良いネーミングは短期間で認知されます。
その一方で、
「あ、この名前いいな」
と思われて、似た名称を使われるスピードも速いです。
そして、受講生やフォロワーが増えてから名称変更するとなると、
LP、SNS投稿、動画、教材、PDF、LINE、メルマガ
など大量のコンテンツを修正する必要があります。
ですから、オンラインだから看板代がかからないので安心、ということではありません。
むしろ拡散が速いからこそ、早めに名称を守る意味があると考えています。

将来的に事業を売却する可能性がある会社も、商標を整理しておいた方がよいです。
分かりやすい例がAmazonブランドです。
最近では、育てたECブランドやAmazon事業そのものを売却するケースがあります。
買い手側からすれば、
「このブランド名を買収後も安心して使えるのか」
は重要です。
商標登録されていなければ、
といった問題があります。
一方、会社名、商品名、サービス名、ブランド名など、重要な知財が整理されていれば、買い手側も事業の権利関係を確認しやすくなります。
もちろん、
「商標を持っていれば必ず会社の売却価格が上がる」
と単純に断定できるものではありません。
ただ、私の実務感覚では、ブランドを事業資産として売却するなら、主要な名称について商標権をきちんと整備していることは、買い手にとって大きな安心材料になります。
売却直前になって慌てて出願するより、ブランドを育てる段階から押さえておく方がよいでしょう。

商標について、
「もっと売上が大きくなってから取ります」
と言われることがあります。
気持ちはよく分かります。
まだ事業がどうなるか分からないのに、最初からすべての名称に費用をかける必要はありません。
ただし、商標の場合は、
事業が大きくなってからの方が、名前を変更するコストも大きくなる
という特徴があります。
店舗数が増える。
受講生が増える。
広告を大量に出す。
商品のレビューが蓄積する。
SNSのフォロワーが増える。
フランチャイジーが増える。
こうなった後に、
「この名称は商標登録できません」
となったときの方がはるかに大変です。
だから、私は会社の規模よりも、
その名称への投資をこれから増やしていくかどうか
を見る方が重要だと思っています。
逆に、
まで、全部商標登録する必要はありません。
商標登録には費用がかかります。
ですから、
「この名称が使えなくなったら事業にどれだけ影響するか」
で考えるとよいでしょう。
例えば、
3年間使った店舗名を変更する。
100人の認定講師が使っているメソッド名を変更する。
Amazonで数千件のレビューが付いたブランド名を変更する。
10店舗のFC店の看板を変更する。
これらはかなり大きな問題です。
こうした状態になる可能性がある名称なら、早めに商標を検討する価値があります。
これまでの話をさらにシンプルにすると、私は次の3つがある事業を見ると、
「商標を早めに確認した方がいいな」
と感じます。
1.その名前にお金をかけ始めている
看板、広告、パッケージ、LP、動画、店舗などへの投資です。
2.その名前を他人にも使わせ始めている
FC加盟店、認定講師、代理店、受講生などです。
3.その名前に顧客・信用が集まり始めている
口コミ、レビュー、フォロワー、ブランド認知などです。
この3つのどれかが始まったら、少なくとも一度は商標を確認しておくことをおすすめします。
もちろん、
「重要な名称だからすぐ出願」
ではなく、まず商標調査を行います。
同一・類似する先行商標がないか。
名称自体に識別力があるか。
どの商品・サービスについて権利を取るべきか。
などを確認します。
商標権は、指定商品・指定役務について登録商標を使用する権利を専有し、一定の類似範囲について他人の使用を排除できる権利です。特許庁
ですから、単に名前だけを登録するのではなく、
「その会社がその名前を何に使うのか」
まで考えて出願内容を決める必要があります。
弁理士として相談を受けていて、
商標登録を早くした方がいい会社
には共通点があります。
それは、
その名前に、これからお金・信用・顧客を積み上げていく会社
です。
特に、
といった会社は、早めに商標を検討する価値が高いと思います。
大事なのは、
会社が大きいか小さいかではありません。
「その名前をこれからどれだけ大切に育てるのか」
です。
遠山総合特許事務所では、
「まだ小さい会社だけれど商標を取るべきか」
「FC展開前に何を登録しておけばいいか」
「講座名・メソッド名を守りたい」
「海外ブランドを日本で展開したい」
「Amazonブランドを将来売却する可能性がある」
といった段階からご相談いただけます。
事業内容と今後の展開を確認したうえで、どの名称を、いつ、どの範囲で商標登録するのがよいかをご提案します。
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執筆・監修:弁理士 遠山敬一
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