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商標権は10年で償却!でも権利が消えるわけじゃない?横浜の特許事務所が会計と法律の落とし穴を解説

自社のロゴやブランド名を守るために、ついに商標登録! 経営者や経理担当者にとって、これは大きな一歩です。

しかし、その商標権、会計上どう処理すればいいかご存知ですか?

「商標権は10年で償却するって聞いたけど、どういうこと?」 「10年経ったら、せっかく取った権利がなくなっちゃうの?」

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、混同しがちな商標権の「償却」と「存続期間」について、ブログ形式で分かりやすく解説します。

まず結論!2つの「10年」は全くの別物です

ややこしい話に入る前に、まず結論からお伝えします。

  • 会計(経理)の話:商標権は「10年」で償却する。
    • これは、費用を計上するための会計上のルールです。
  • 法律(権利)の話:商標権の権利は「10年」ごとに更新すれば、半永久的に維持できる。
    • これは、あなたのブランドを守るための法律上の権利期間です。

つまり、会計上の価値がゼロになっても、法律上の権利がなくなるわけではないのです。この2つの「10年」は意味が全く違う、という点が最も重要なポイントです。

では、それぞれを詳しく見ていきましょう。


Part 1:会計の話 ~なぜ10年で「償却」するのか~

会社が事業のために取得した資産は、時の経過とともに価値が減少していくと考えます。その価値の減少分を、一定の期間にわたって費用として計上していく手続きが「減価償却」です。

商標権は、特許権などと同じ「無形固定資産」に分類され、この減価償却の対象となります。

そして、法律(税法)によって資産の種類ごとに「このくらいの期間で価値がなくなるだろう」という年数が決められており、これを「法定耐用年数」と呼びます。

商標権の法定耐用年数は「10年」と定められています。

そのため、商標権の取得にかかった費用は、10年間にわたって毎年少しずつ「減価償却費」として経費に計上していくことになるのです。

《かんたん具体例》

例えば、100万円で商標権を取得したとします。

  • 計算式: 100万円 ÷ 10年 = 10万円
  • 会計処理: 毎年10万円ずつ、10年間にわたって費用として計上します。

10年経つと、会計上の資産価値(帳簿価額)はゼロ(実際は備忘価額として1円を残します)になります。これが「商標権は10年で償却される」という意味です。


Part 2:法律の話 ~権利を守る「存続期間」~

次に、法律上の権利としての商標権を見てみましょう。

商標権は、特許庁に設定登録された日から10年間、その効力が続きます。これが「存続期間」です。

「やっぱり10年で終わりなの?」と思ってしまいますが、ご安心ください。商標権には、他の知的財産権(特許権など)にはない、大きな特徴があります。

それは「更新制度」です。

商標権は、存続期間が満了する前に更新手続きを行うことで、さらに10年間、権利を延長することができます。 しかも、この更新は何回でも可能です。

つまり、ビジネスが続く限り、更新手続きを忘れずに行えば、半永久的に権利を維持し続けることができるのです。

長年愛されている企業のロゴや商品名が、ずっと守られているのはこの更新制度があるからなのです。


まとめ:2つの「10年」を正しく理解しよう

いかがでしたでしょうか。最後にポイントを整理します。

会計(経理)の話法律(権利)の話
目的費用の適正な期間配分ブランドの独占的な保護
期間10年(法定耐用年数)10年(存続期間)
10年経ったら?会計上の資産価値がなくなる(償却完了)権利が一旦満了する
更新できる?できない(償却しきったら終わり)できる(何度でも更新可能!)

このように、「商標権は10年で償却される」というのは事実ですが、それはあくまで会計上の話です。大切なあなたのブランドを守る権利は、更新手続きさえすれば10年後も、20年後も維持できます。

経理担当者は「10年償却」を、経営者や知財担当者は「10年ごとの更新」を、それぞれ忘れずに行うことが重要です。

ブランド戦略や商標・特許の初期相談は早いほどコストを抑えられます。まずは 横浜の遠山総合特許事務所に相談する ことで全体の見通しを把握しましょう。

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