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商品の一部分だけでも意匠登録できる?部分意匠の仕組みと使い方を弁理士が解説

商品のデザインを意匠登録したいとき、

「商品全体が新しくないと意匠登録できないの?」
「バッグの持ち手だけ特徴がある場合はどうする?」
「商品の一部分だけ真似されるのを防げない?」

といった疑問を持つ方もいると思います。

結論からいうと、商品の一部分だけに着目して意匠登録することもできます。

一般に「部分意匠」と呼ばれるものです。

例えば、

  • バッグの持ち手
  • ボトルの注ぎ口やキャップ
  • 家電の操作部分
  • ケースの開閉部分
  • スマートフォンの特徴的な一部分

などです。

商品全体としては比較的ありふれたデザインでも、一部分に独自の特徴がある場合には、その部分を意匠として守る方法があります。

部分意匠とは?

通常の意匠登録では、商品の全体的な形状・外観について権利化を図ります。

一方、部分意匠では、

商品全体のうち、特徴のある一部分に着目して保護する

ことができます。

例えばバッグを考えてみます。

バッグ本体の形は比較的よくあるものでも、

持ち手だけ独特な形をしている

のであれば、その持ち手部分に着目して意匠登録を検討できます。

ただし、持ち手だけを商品から完全に切り離して抽象的に権利化する、という意味ではありません。

その部分が、

  • 商品のどこにあるのか
  • どのくらいの大きさなのか
  • どの範囲を占めるのか

といった点も含めて判断されます。

全体意匠と部分意匠の違い

全体意匠と部分意匠の違いを簡単にいうと、

全体意匠
→ 商品全体のデザインを守る

部分意匠
→ 商品の特徴的な一部分に着目して守る

という違いです。

例えば同じバッグでも、

全体のシルエット、持ち手、底部分、装飾などを含めて一つのデザインとして守るのが全体意匠です。

一方、

「この商品の特徴は持ち手の形にある」

という場合に、そこへスポットを当てるのが部分意匠です。

全体意匠を取っていれば十分では?

「商品全体の意匠を取れば、それだけで十分では?」

と思うかもしれません。

もちろん、全体意匠も非常に重要です。

登録意匠と完全に同じ商品だけでなく、類似する意匠にも権利が及ぶ可能性があるので、少し形を変えれば必ず権利を逃れられるというものではありません。

ただ、模倣する側も商品全体をそのままコピーするとは限りません。

例えば、

  • 本体の形を少し変更する
  • 装飾を変更する
  • サイズ感を変える

一方で、

一番売れている特徴部分だけはそっくり真似する

ということもあります。

そこで、全体意匠とは別に、特に重要な部分を部分意匠でも押さえておくと、模倣対策の幅を広げやすくなります。

部分意匠が活きる具体例

例えば次のような商品です。

バッグ

本体は一般的な形でも、

持ち手の形や接続部分

に特徴がある。

ボトル

ボトル本体は通常の形でも、

注ぎ口、キャップ、ポンプ部分

が特徴的。

家電製品

製品全体は四角い一般的な形でも、

操作ダイヤルや操作パネル

の外観に特徴がある。

スマートフォンやケース

全体形状は一般的でも、

背面の一部分、下部形状、カメラ周辺

などに特徴がある。

このようなケースでは部分意匠を検討する価値があります。

Amazon・OEM商品でも部分意匠は使える?

Amazonなどで販売するOEM商品とも、部分意匠は非常に相性がいいと思います。

OEM商品では、

商品の「ここが売り」という部分

があることがあります。

例えば、

  • 特徴的な持ち手
  • 独自の開閉機構の外観
  • 特徴的なノズル
  • 特徴のある脚部
  • 特殊な形状の操作部分

などです。

競合商品が出てきたとき、商品全体をそっくり真似するとは限りません。

むしろ、

売れている理由になっている特徴部分だけを取り入れる

ことがあります。

そのため、商品の中心的な特徴となる部分を部分意匠で押さえておくことは、模倣対策として有効です。

「機能的に重要な部分」でも意匠登録できる?

ここは少し注意が必要です。

例えば、

「この持ち手の形だから持ちやすい」

「このノズル形状だから使いやすい」

というように、商品のデザインと機能が関係していることがあります。

この場合でも意匠登録を検討できることがありますが、意匠権で保護するのはあくまで外観・デザインです。

技術的な仕組みそのものを守りたい場合は、特許や実用新案を検討することになります。

ですから、

外観として特徴的
+
機能的にも重要

という部分なら、

意匠と特許の両方から検討する価値がある場合もあります。

全体意匠+部分意匠の両方を取る

重要な商品なら、

全体意匠だけ
あるいは
部分意匠だけ

と考える必要はありません。

両方を検討できます。

例えばバッグなら、

バッグ全体のデザイン
→ 全体意匠

特に特徴的な持ち手部分
→ 部分意匠

という形です。

こうすることで、

商品全体の外観を守りつつ、特に模倣されたくないポイントについても重点的に保護できます。

私は、特徴の強い商品であれば、

全体を押さえたうえで、重要部分を部分意匠でも重ねて検討する

という考え方は非常に有効だと思っています。

部分意匠も「公開前の出願」が基本

部分意匠も、通常の意匠と同様に新規性が重要です。

Amazonで販売する、Makuakeで公開する、SNSへ掲載する、展示会で見せるなどによって、商品デザインが世の中に公開されると、新規性の問題が生じます。

そのため、基本的には、

デザインを公開する前に出願する

のが安全です。

公開してしまった後でも出願できる場合はある

自分自身の行為によってデザインを公開してしまった場合でも、一定の条件を満たせば、新規性喪失の例外規定を利用できる場合があります。

現在の制度では、一定の場合、公開から1年以内の出願について例外適用を受けられる可能性があります。

ただし、

「1年以内なら安心して公開してよい」

という制度ではありません。

あくまで例外です。

また、必要な手続や証明も発生します。

代理人へ依頼する場合には、通常の出願より費用・手間が増える場合もあります。

公開後に模倣された場合のリスク

さらに重要なのが、公開してから出願するまでの間です。

例えば、自社商品をAmazonで公開したところ、非常に早く競合が類似商品を作ったとします。

その後で自社が意匠出願を行った場合、

第三者による公開や出願との関係が問題になる可能性があります。

もちろん、本当に自社の商品を見て模倣したのであれば、それを主張できる場合もあります。

しかし、

「相手が自社商品を見て真似した」

という因果関係を後から立証するのは、簡単とは限りません。

だからこそ私は、

守りたい商品なら、できるだけ公開前に出願する

ことをおすすめします。

部分意匠は「権利を広くする魔法」ではない

部分意匠を使えば何でも広く守れる、というわけではありません。

どの部分を権利化するのか。

その部分が商品全体のどこに位置するのか。

どの程度の範囲を指定するのか。

によって権利内容は変わります。

ですから、

「どこを部分意匠として切り出すか」

が非常に重要です。

あまり特徴のない部分を選んでも十分な効果が得られないことがあります。

逆に、競合が真似したくなる商品の核心部分をうまく押さえられれば、強い権利になる可能性があります。

どの部分を取ればいいか迷ったら

私は、次のような質問で考えると分かりやすいと思います。

「この商品を見たとき、どの部分が一番特徴的か?」

さらに、

「競合がこの商品を真似するとしたら、どこを真似したいか?」

という視点も重要です。

その答えになる部分が、部分意匠として検討すべき候補です。

例えば、

「このバッグは持ち手が売り」

なのであれば、持ち手。

「このボトルは独特な注ぎ口が売り」

なのであれば、注ぎ口。

「この家電は操作部分の形が特徴」

なのであれば、操作部分。

という考え方です。

まとめ:商品の「特徴部分」を部分意匠で守る

部分意匠とは、商品全体ではなく、特徴のある一部分に着目して意匠登録する方法です。

例えば、

  • バッグの持ち手
  • ボトルの注ぎ口・キャップ
  • 家電の操作部分
  • スマートフォンの特徴的な外観部分

などです。

商品全体が普通のデザインだからといって、

意匠登録を諦める必要はありません。

一部分に独自性があれば、その部分を守れる可能性があります。

特にAmazonやOEM商品では、模倣業者が売れ筋商品の特徴部分だけを真似することがあります。

そのため、

全体意匠+部分意匠

を組み合わせて権利化することも有効です。

そして、意匠は新規性が重要なので、

できるだけ商品公開前に出願する

ことをおすすめします。

遠山総合特許事務所では、

「商品の一部分だけを意匠登録したい」
「全体意匠と部分意匠の両方を取るべきか」
「AmazonのOEM商品の特徴部分を守りたい」
「すでに公開してしまったが意匠登録できるか」
「意匠と特許のどちらで守るべきか」

といった段階からご相談いただけます。

商品の外観や販売計画を確認しながら、どの部分をどのように権利化するのが効果的かをご提案します。

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執筆・監修:弁理士 遠山敬一

https://toyamapat.com/about

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