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特許を出願した方から、
「できるだけ早く審査結果を知りたい」
「製品を販売する前に、特許になる可能性を確認したい」
「取引先との関係で早く権利化したい」
と相談されることがあります。
そのようなときに利用を検討したいのが、特許の早期審査制度です。
早期審査を利用すると、通常より大幅に早く審査を受けることができます。
特に中小企業の場合は利用条件を満たしやすいため、私は、
早く審査結果を知りたいのであれば、積極的に利用を検討してよい制度
だと考えています。

特許の早期審査とは、一定の条件を満たす特許出願について、通常の順番を待たず、早めに審査をしてもらう制度です。
通常、特許出願をしただけでは実体審査は始まりません。
まず審査請求を行い、その後、特許庁の審査官による審査が行われます。
早期審査を利用する場合も、審査請求が行われていることが前提です。
特許庁の2024年実績では、審査請求から最初の審査結果である一次審査通知まで、通常審査では平均9.1か月です。
これに対して、早期審査では申請から一次審査通知まで平均約2.3か月となっています。
かなり大きな違いです。
ここは少し注意が必要です。
平均約2.3か月というのは、
特許になるまでの期間ではなく、最初の審査結果が通知されるまでの期間
です。
審査の結果、
などが届きます。
拒絶理由通知が届けば、意見書や補正書を提出して、その後さらに審査が続くことがあります。
それでも、
早い段階で特許庁の判断を知ることができる
というのは、事業を進めるうえで非常に大きなメリットです。

現在の平均値で比較すると、
通常審査:一次審査通知まで平均9.1か月
早期審査:申請から一次審査通知まで平均2.3か月
です。
つまり、早期審査を利用できれば、審査結果を知るまでの時間を大幅に短縮できる可能性があります。
例えば、
半年後に新製品を発売する予定がある。
投資家や取引先に知的財産の状況を説明したい。
競合他社が似た商品を出し始めている。
海外展開を予定している。
という場合には、数か月早く審査結果が分かる意味は大きいでしょう。
特許の早期審査の大きな特徴が、中小企業にとって利用しやすいことです。
特許庁が早期審査の対象としている出願には、例えば、
などがあります。
特に重要なのが、
一定の要件を満たす中小企業であれば、中小企業であること自体が早期審査の対象類型になっている
という点です。
以前、商標の早期審査についても解説しました。
商標の場合は、
実際に商標を使用しているか、
使用準備を進めているか、
指定商品・役務が一定の条件に合っているか、
などを確認する必要があります。
一方、特許の場合、中小企業等に該当すれば早期審査の対象になります。
そのため私の実務感覚では、
特許の早期審査の方が、中小企業にとってはかなり使いやすい
と思います。
「早く審査してほしいけれど、特殊な事情がないから無理だろう」
と思う必要はありません。
中小企業であれば、一度利用できるか確認してみる価値があります。
もちろん、中小企業だけの制度ではありません。
例えば大企業でも、
同じ発明について外国にも特許出願している場合などです。
すでに発明を実施している、または一定期間内に実施予定がある場合です。
省エネルギーやCO2削減などの効果を有する発明が該当する場合があります。
など、一定の条件に該当すれば早期審査を利用できます。

大学や公的研究機関、一定のTLOによる出願も、早期審査の対象となります。
大学発ベンチャーや、大学と企業による共同研究などでは、
研究成果を早く事業化したい、
ライセンス契約を進めたい、
スタートアップへの技術移転を進めたい、
といった事情があります。
このようなケースでも、早期審査を使うメリットがあります。
震災復興支援に関係する一定の出願についても、早期審査制度があります。
ただし、
被災地域に事業所があるだけで必ず利用できる
というわけではありません。
例えば、特定被災地域の事業所が地震による被害を受け、その事業所の事業として生まれた発明、または実施される発明であることなど、所定の要件があります。
該当しそうな場合には、個別に確認する必要があります。
早期審査を希望する場合には、
「早期審査に関する事情説明書」
を提出します。
この書類では、
などを説明します。
例えば中小企業の場合なら、
「出願人は中小企業の要件を満たしています」
という事情を示したうえで、知っている先行技術との関係を説明します。
「先行技術との対比が必要」と聞くと、
「早期審査のために、もう一度大掛かりな特許調査をしなければいけないのか」
と思われるかもしれません。
中小企業、個人、大学、公的研究機関等による申請では、早期審査の申請のためだけに改めて先行技術調査を行うことまでは求められていません。
ただし、出願人が知っている先行技術文献について、今回の発明との違いを説明する必要があります。
そのため、手続としては多少書類作成が必要ですが、私はそれほど利用しにくい制度ではないと感じています。
早期審査を利用するために、特許庁へ追加の早期審査手数料を支払う必要はありません。
早期審査の申請自体は無料です。
これはかなり利用しやすい点だと思います。
ただし、弁理士へ事情説明書の作成などを依頼する場合には、通常の出願・審査請求費用とは別に代理人手数料が発生することがあります。
私なら、例えば次のようなケースでは積極的に検討します。
新製品の発売予定が近い場合
販売開始前後に、特許庁の見解を早く知りたいケースです。
競合商品が出てきている場合
将来的な権利行使を考えるなら、早めの権利化が重要になることがあります。
取引・ライセンス交渉を予定している場合
出願中なのか、特許査定が出ているのかでは、相手への説明のしやすさも変わります。
海外展開を予定している場合
外国出願との関係で、日本での審査結果を早く得たいケースがあります。
資金調達などで知財状況を説明したい場合
スタートアップなどでは、知財の状況が事業説明の一つの材料になることがあります。
もちろん、
特許は何でも早ければいい
というわけではありません。
例えば、
まだ事業化の方向が定まっていない。
競合や市場を見ながら権利範囲を検討したい。
追加実験や改良が続いている。
といった事情があれば、あえて急がず通常審査を選ぶこともあります。
また、審査が早く進めば、それだけ早い段階で拒絶理由への対応が必要になる可能性もあります。
したがって、
「早期審査を使えるか」だけでなく、「今、早く審査してもらうことが事業上メリットになるか」
で判断するのがよいでしょう。
一定の厳しい条件を満たす出願については、通常の早期審査よりさらに速いスーパー早期審査という制度もあります。
例えば、実施関連出願かつ外国関連出願である場合や、一定のスタートアップによる実施関連出願などが対象になります。特許庁
すべての企業が利用できる制度ではありませんが、
「どうしても非常に早く審査結果が必要」
という場合には検討する価値があります。
特許の早期審査は、非常に使いやすい制度です。
2024年の特許庁実績では、
通常審査:一次審査通知まで平均9.1か月
に対して、
早期審査:申請から一次審査通知まで平均2.3か月
となっています。
そして中小企業の場合は、一定の中小企業要件を満たせば、それ自体が早期審査の対象類型になります。
早く審査結果を知る必要があるのであれば、
「うちの会社でも使えるのだろうか」と迷うより、一度利用できるか確認してみる
ことをおすすめします。
遠山総合特許事務所では、
「早期審査を利用できるか知りたい」
「新製品の発売前に早く審査結果を知りたい」
「中小企業なので早期審査を使いたい」
「外国出願も予定している」
「通常審査と早期審査のどちらがよいか判断したい」
といった段階からご相談いただけます。
早期審査を使うべきかどうかは、権利化のスピードだけでなく、事業のスケジュールや今後の海外展開も含めて考えることが重要です。
特許は何年で取れる?出願から登録までの期間を弁理士が解説
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執筆・監修:弁理士 遠山敬一
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