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拒絶査定不服審判とは?審査官の「NO」を覆すチャンス!

特許や商標を出願して、「やった!これでビジネスが守られる!」と期待に胸を膨らませていたのに、特許庁から届いたのは「拒絶査定」の通知…。ショックですよね。

「もうダメなのか…」と諦めてしまうのは、まだ早いかもしれません!そんな時に使えるのが、拒絶査定不服審判(きょぜつさていふふくしんぱん)という制度です。

この記事では、この少し難しい名前の制度が一体何なのか、どういう時に使えるのかを、専門用語をかみ砕いて解説します。


拒絶査定不服審判って、そもそも何?

一言でいうと、「審査官が出した『拒絶』という判断に不服を申し立て、もう一度、別の専門家チームに判断してもらう手続き」のことです。

裁判で例えると、第一審の判決に納得がいかない場合に、高等裁判所に控訴するのに似ています。特許庁の中には、審査を行う「審査官」とは別に、審判を行う「審判官」という専門家たちがいます。この審判官たちが、審査官の判断が本当に正しかったのかを、公平な立場で改めて審理してくれるのです。

審判官は、審査官の経験が10年以上ある人がなるケースが多いです。なので、審判よりも上級であり、上級審という呼ばれ方もしています。

つまり、一度「NO」と言われても、セカンドオピニオンを求めるチャンスが与えられている、ということです。


どんな時に使うの?(特許と商標の例)

では、具体的にどんな場面でこの審判を請求するのでしょうか。特許と商標のケースで見てみましょう。

特許の場合

一生懸命考えた発明を特許出願したのに、審査官からこんな理由で拒絶されたとします。

  • 「この発明は、すでに世の中にある技術と同じですよ(新規性なし)」
  • 「この業界の専門家なら、簡単に思いつくレベルの発明です(進歩性なし)」

しかし、あなたとしては「いや、こんな技術は今までなかったはずだ!」「この発想に至るのは非常に困難だったんだ!」と反論したい。こんな時に、審判を請求してその主張を審判官に訴えることができます。

特許で拒絶理由通知を受けた場合、1回又は2回、反論の機会が与えられます。これは、拒絶理由通知の対応、中間対応という呼ばれ方をしています。ここで、権利範囲を狭めたり、審査官の考え方に反論しますが、それでも拒絶理由が解消せず、審査官の判断が変わらない場合には拒絶査定というものが発行されます。

これは、審査段階では拒絶という判定だよ、という審査官の最後通告です。

それでも申請者が納得できない場合に、拒絶査定不服審判を請求する、という流れになります。

商標の場合

会社や商品の顔となる、こだわりのネーミングやロゴを商標出願したのに、こんな理由で拒絶されたとします。

  • 「この名前は、商品の品質や産地を単に説明しているだけなので、独占は認められません(識別力(特徴)がない商標)」
  • 「すでに登録されている、他人の商標と似ていますよ(類似商標)」

あなたとしては「いや、これは単なる説明ではなく、独自の世界観を表したネーミングだ!」「あの商標とは見た目も響きも全然違う!」と納得がいかない。このような場合に、審判で改めて判断を仰ぐことができます。


審判の簡単な流れ

審判の手続きは専門的ですが、ここではざっくりとした流れをご紹介します。

ステップ1:審判を請求する

拒絶査定の通知を受け取ってから3ヶ月以内に、「審判請求書」という書類を特許庁に提出します。この時、なぜ審査官の判断がおかしいと思うのか、その理由をしっかりと書く必要があります。また、必要に応じて、出願内容を少し修正(補正)して、拒絶理由を解消することも可能です。

ステップ2:審判官による審理

あなたの請求を受け、原則として3名または5名の審判官がチーム(合議体)を組んで、あなたの主張や提出された書類をじっくりと検討します。審査官の判断とあなたの主張、どちらに理があるのかを中立的な立場で審理します。

ステップ3:審決(結論が下される)

審理の結果は、「審決(しんけつ)」という形で通知されます。審決には、主に2つの結論があります。

  • 請求成立(認容)審決 :請求人の主張が認められたケースです。「拒絶査定を取り消し、登録を認めます」という結論で、無事に特許権や商標権を取得できます。
  • 請求不成立(棄却)審決 :残念ながら、審判官も「やはり審査官の判断が正しい」と判断したケースです。この場合、原則として権利化は認められません。

まとめ

拒絶査定不服審判は、大切な発明やブランドを守るための重要な再チャレンジの機会です。一度拒絶されたからといって、すぐに諦める必要はありません。

ただし、審判の手続きは法律に基づいた専門的な知識が求められるため、ご自身で対応するのは非常に困難です。拒絶査定の通知が届いたら、まずは弁理士などの専門家に相談し、審判を請求すべきかどうか、勝算はあるのかといったアドバイスをもらうことを強くお勧めします。

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