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自分のアイデアや考案を守るために実用新案権を取得したものの、「これって、どうやって権利を使えばいいの?」「他社が真似してるけど、いきなり訴えていいの?」と疑問に思っていませんか?
そんな時に絶対に知っておかなければならないのが「実用新案技術評価書(じつようしんあんぎじゅつひょうかしょ)」です。
この記事では、この技術評価書が何なのか、そしてあなたの権利をどう左右するのかを、専門用語をなるべく使わずに分かりやすく解説します!
一言でいうと、あなたの実用新案権の「有効性」を特許庁がお墨付きを与えてくれる公式レポートです。
身近な例で言えば、健康診断の結果報告書のようなものですね。あなたの実用新案権が「健康(=有効でしっかりした権利)」なのか、それとも「要再検査(=無効になるかもしれない弱い権利)」なのかを客観的に評価してくれます。
ここで重要なのが、実用新案と特許の違いです。
無審査で登録されるということは、登録された時点では「本当に新しい技術なのか」「誰でも思いつくような簡単なものではないか」がチェックされていません。つまり、玉石混交の状態なのです。
そのため、いざ権利を使おうとする前に、「この権利、本当に大丈夫?」ということを特許庁のプロ(審査官)に評価してもらうのが、この技術評価書というわけです。
技術評価書には、調査の結果が数字で記載されます。特に重要なのは「評価6」が出たかどうかです。
ここが一番大切なポイントです。実用新案権を使って、他社の模倣品に対して製造中止(差止請求)や損害賠償を求めるには、原則として以下のステップが必要です。
まず、権利を侵害している相手に対して「あなたの製品は私の実用新案権を侵害していますよ」と知らせる「警告」を行う必要があります。
この警告をする際に、必ず提示しなければならないのが「実用新案技術評価書」なのです。
警告後も相手が侵害行為を続ける場合に、裁判所を通じて差止請求や損害賠償請求といった本格的な権利行使に進むことができます。
では、技術評価書の評価によって、この権利行使がどう変わるのでしょうか?
自信を持って権利行使ができます。
「評価6」の技術評価書を提示して警告することで、相手に「これは特許庁お墨付きの有効な権利だぞ」と強いプレッシャーを与えることができます。もし裁判になったとしても、権利の有効性を主張するための強力な証拠になります。
権利行使は非常に危険です。絶対にやめましょう。
否定的な評価の技術評価書を提示して権利行使をした後、もしその実用新案権が「やっぱり無効でした」となってしまうと、大変なことになります。
なんと、権利行使をした側が、警告や訴訟によって相手に与えた損害を賠償する責任を負う可能性があるのです。「権利があるから」と安易に振りかざすと、逆に多額の損害賠償を請求されかねません。
ポイント
いかがでしたでしょうか?実用新案技術評価書の重要性をご理解いただけたかと思います。
項目 | 説明 |
技術評価書とは? | あなたの実用新案権の「有効性」を特許庁が評価した公式レポート。 |
なぜ必要? | 実用新案は無審査で登録されるため、権利行使前に客観的な評価が必要だから。 |
重要な評価は? | 「評価6」(肯定的評価)が出れば、権利として有効である可能性が高い。「評価1~5」は否定体評価。 |
権利行使するには? | 原則として、技術評価書を提示して相手に警告する必要がある。 |
権利行使の可能性 | 「評価6」があれば権利行使できる可能性が高い。否定的な評価ではリスクが大きく困難。 |
実用新案権は取得しやすい反面、権利を行使するには技術評価書というハードルがあります。もし、あなたの権利が侵害されている疑いがある場合は、まず技術評価書を請求し、その結果をもって弁理士などの専門家に相談することをお勧めします。
30分で方向性と費用感を把握。専門弁理士がオンライン・対面で対応します。
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