
お電話でのお問い合わせ045-555-9505
「使いたいサービス名や商品名があったのに、すでに誰かに商標登録されていた…」
ビジネスを始めようとした時、こんな経験はありませんか?でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。もしその商標が登録されているだけで、実際には使われていない「休眠商標」だとしたら、その登録を取り消せる可能性があるのです。
それを実現するのが、今回ご紹介する「不使用取消審判(ふしようとりけししんぱん)」という制度です。
この記事では、商標の不使用取消審判について、制度の目的から手続きの流れ、請求された場合の対策まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
不使用取消審判とは、継続して3年以上、日本国内で使われていない登録商標の取り消しを求めることができる制度です(商標法第50条)。
特許庁に審判を請求し、「登録されているけど、使われていないですよね?」と問題提起をします。そして、商標を持っている側(商標権者)が「いや、ちゃんと使っていますよ」ということを証明できなければ、その商標登録が取り消される仕組みです。
例えるなら、「図書館でたくさんの本を借りたまま、誰も読まずに放置している人がいたら、他の読みたい人のために返却してもらう」というイメージに近いかもしれません。
商標登録は、申請すれば永久に権利が保証されるわけではありません。商標制度の本来の目的は、事業者が使うマークを保護することで、事業者自身の信用を守り、消費者が商品やサービスを混同しないようにすることにあります。
しかし、使われていない商標が登録されたままだと、以下のような問題が起こります。
このような事態を防ぎ、本当に商標を使いたい人が使えるようにするために、不使用取消審判の制度が設けられているのです。
この審判、実は誰でも請求することができます。
「その商標を使いたい」という具体的な利害関係がなくても、「あの商標、使われていないみたいだから取り消してほしい」と考える人であれば、誰でも特許庁に請求することが可能です。これも、制度が公益的な目的を持っていることの表れです。
実際に不使用取消審判を請求する場合、どのような流れになるのでしょうか。
まず、請求の対象となるのは、以下の条件をすべて満たす商標です。
もしあなたが不使用取消審判を請求されたら、どうすればよいのでしょうか。焦らず、適切に対応することが重要です。
最も重要な対抗策は、「指定商品・指定役務について、商標をきちんと使用していること」を証拠で証明することです。
【有効な証拠の例】
「審判を請求されそうだから、慌てて使い始めよう!」と考えるかもしれません。
しかし、審判請求の登録前3ヶ月以内に行われた使用(駆け込み使用)で、かつその使用が審判請求されることを知ってから行われたものである場合、その使用の事実は認められない可能性があります。アリバイ作りのような使用は通用しない、ということです。
病気での長期入院や、災害、法律による規制など、商標を使用できなかったことに「正当な理由」がある場合は、使用していなくても登録の取り消しを免れることがあります。ただし、単なる経営不振や資金不足といった理由は、一般的に正当な理由とは認められにくいので注意が必要です。
審判の結果は、大きく分けて2つです。
不使用取消審判は、使われていない商標を整理し、商標制度を健全に機能させるための重要な仕組みです。
もしあなたが「使いたい商標が使われていないかもしれない」と感じたり、逆に「自分の商標が審判を請求された」という場合には、まずは弁理士などの専門家に相談することをおすすめします。
この記事が、不使用取消審判への理解を深める一助となれば幸いです。
横浜の特許事務所に公式LINEから相談する
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。