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マドプロ国際登録とは?海外で商標を守るための賢い方法を分かりやすく解説!

「海外で自社の商品やサービスを展開したい!」 「うちのブランド名を海外でもしっかり守りたい!」

グローバル化が進む今、このように考える経営者や事業担当者の方も多いのではないでしょうか。

海外でビジネスを成功させるためには、自社のロゴやネームといった「商標」を現地の法律で守ることが非常に重要です。しかし、国ごとに商標を出願・登録するのは、手続きも煩雑で費用もかさみがち…。

そんな悩みを解決してくれるのが、今回ご紹介する「マドプロ(マドリッド協定議定書)国際登録制度」です。

この記事では、マドプロとは何か、そのメリット・デメリットから手続きの流れまで、初めての方にも分かりやすく解説します。

結論:マドプロとは「海外への商標登録の窓口一本化サービス」

(画像はイメージです)

マドプロ国際登録をすごく簡単に言うと、

「日本の特許庁を窓口にして、複数の国へまとめて商標登録の出願ができる制度」

のことです。

通常、外国で商標を登録するには、その国の特許庁に、その国の言語で、その国の代理人(弁護士や弁理士)を通じて手続きをする必要があります。これを国ごとに行うのは、考えただけでも大変ですよね。

マドプロを利用すれば、日本の特許庁に日本語で書類を提出するだけで、あなたが指定した複数の国・地域に一括で出願手続きを進めることができるのです。

マドプロの3つの大きなメリット

では、具体的にマドプロを利用するとどんないいことがあるのでしょうか。主なメリットを3つご紹介します。

1. 手続きがとにかくシンプル!

  • 窓口は日本の特許庁だけ: 各国の特許庁と直接やり取りする必要がありません。
  • 言語は日本語でOK: 願書は日本語で作成します。翻訳の手間とコストを削減できます。
  • 出願後の管理が楽: 権利の存続期間の更新なども、各国バラバラではなく一括で管理できます。

2. コストを抑えられる!

各国に直接出願する場合、国ごとに「現地代理人の費用」や「翻訳費用」、「特許庁への手数料」などがかかります。

マドプロを利用すると、これらの費用を大幅に削減できる可能性があります。特に、出願したい国が多ければ多いほど、そのコストメリットは大きくなります。

直接出願マドプロ
窓口各国の特許庁日本の特許庁
言語各国の言語日本語
代理人各国で必要基本的に不要※
費用国ごとに発生し、割高になる傾向一括で支払え、割安になる傾向

※各国の審査で拒絶された場合など、個別対応が必要な際は現地代理人が必要になります。

3. 権利取得までのスピードが早い!

マドプロでは、各国での審査期間に「1年」または「1年6ヶ月」というタイムリミットが設けられています。この期間内に「登録できない」という通知がなければ、原則としてその国で権利が認められたことになります。これにより、権利化までの見通しが立てやすくなります。

知っておきたいデメリットと注意点

便利なマドプロですが、利用する前に知っておくべき注意点も存在します。

1. 日本での出願・登録が必須

マドプロは、単独で利用できる制度ではありません。必ず**日本で既に出願または登録されている商標(基礎出願・基礎登録)**が必要になります。つまり、これから海外で使いたい商標は、まず日本で保護されていることが大前提となります。

2. セントラルアタックのリスク

これはマドプロ最大の注意点です。国際登録の日から5年以内に、元となっている日本の基礎出願・基礎登録が拒絶されたり、無効になったりすると、国際登録全体が取り消されてしまうというリスクがあります。これを「セントラルアタック」と呼びます。

このリスクを避けるためには、元となる日本の商標権をしっかりと安定させることが重要です。

3. 審査は各国ごとに行われる

手続きは一本化できますが、商標が登録されるかどうかの審査は、それぞれの国の法律に基づいて行われます。例えば、日本では登録できても、アメリカでは拒絶される、といったケースは十分にあり得ます。

もし拒絶された場合は、その国の代理人を通じて意見書を提出するなどの対応が必要になります。

手続きの簡単な流れ

マドプロを利用した出願は、以下のような流れで進みます。

  1. 【日本】基礎出願・登録 日本の特許庁に商標を出願、または登録します。
  2. 【日本 → WIPO】国際出願 日本の特許庁を窓口として、国際出願の願書を提出します。保護を求める国(指定国)などを記載します。
  3. 【WIPO】方式審査 スイスのジュネーブにあるWIPO(世界知的所有権機関)で、書類に不備がないかなどの形式的な審査が行われます。問題がなければ国際登録簿に記録され、各国に通知されます。
  4. 【各国】実体審査 通知を受けた各指定国で、その国の法律に基づき、商標登録できるかどうかの実質的な審査が行われます。
  5. 【各国】登録査定 or 拒絶通報 審査の結果、問題がなければ権利が発生します。拒絶理由がある場合は、その国から拒絶通報が届きます。

まとめ:海外展開の力強い味方、それがマドプロ!

最後に、マドプロのポイントをもう一度おさらいしましょう。

  • 複数の国への商標出願を、日本の特許庁を通じて一括で行える便利な制度
  • メリットは「手続きの簡素化」「コスト削減」「管理の容易さ」
  • デメリットは「日本の出願が必須」「セントラルアタックのリスク」
  • 審査自体は各国の基準で行われる

マドプロは、海外でのブランド保護を考えている企業にとって、非常に有効で力強い選択肢です。特に、複数の国や地域へ同時に事業展開を計画している場合には、そのメリットを最大限に享受できるでしょう。

ただし、セントラルアタックのリスクなど専門的な知識も必要となるため、実際に利用を検討する際は、この記事を書いた遠山敬一弁理士に相談することをおすすめします。

賢く制度を利用して、あなたの大切なブランドを世界で守り育てていきましょう!

https://lin.ee/Iko1f7S

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