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商標を出願した方から、
「登録までそんなに待たないといけないんですか?」
「Amazonブランド登録を急いでいるのですが、もっと早くできませんか?」
「新しい店舗をオープンするので、早く商標を確定させたいです」
と相談されることがあります。
通常の商標審査では、分野によって差がありますが、出願から最初の審査結果が出るまで数か月かかります。7~9か月程度かかる分野も珍しくありません。
そこで利用できる場合があるのが、商標の早期審査制度です。
一定の条件を満たして早期審査を申し出ることで、通常より大幅に早く審査してもらうことができます。
実務上は、早期審査の申出から約2~3か月程度で最初の審査結果が出ることが多く、かなり便利な制度です。
ただし、
「急いでいるから使いたい」
というだけで誰でも無条件に利用できるわけではありません。
実際に商標を使用していることや、使用準備を進めていることなど、一定の条件を満たす必要があります。

商標の早期審査とは、一定の要件を満たす商標登録出願について、通常より早く審査を進めてもらう制度です。
通常の審査では、出願後かなりの期間待つことがあります。
その間、
といった事情がある場合には、数か月待つことが事業上大きな負担になります。
そのようなときに早期審査を利用できれば、審査期間を大きく短縮できます。
通常審査では、商品・サービスの分野によって異なりますが、最初の審査結果までおおむね5~9か月程度を見ておく必要があります。
特に7~9か月程度かかる分野もあります。
一方、早期審査の場合は、申出をしてから約2~3か月程度で最初の審査結果が出ることが一般的です。
つまり、
半年以上待つ可能性があるものを、2~3か月程度まで短縮できる
場合があります。
Amazon物販、新商品の販売、新店舗オープンなど、スケジュールが決まっている事業では非常に使いやすい制度だと思います。

個人・法人を問わず利用できます。
ただし、所定の要件を満たす必要があります。
大きな前提となるのは、
すでにその商標を使用している、または使用の準備を相当程度進めていること
です。
例えば、
これから何年後かに使う予定なので、とりあえず商標だけ押さえておきたい
というケースでは、早期審査を使うのは難しくなります。
実際に事業として使っている、あるいは近いうちに使う具体的な準備が進んでいることが重要です。
制度を分かりやすく整理すると、主に次のようなケースがあります。
例えば、
など、早く権利関係を確定する必要があるケースです。
このような場合には、使用状況に加えて緊急性を示すことで早期審査の対象となる場合があります。
例えば出願で、
を指定している場合に、そのすべてについて商標を使用していることを証明できるケースです。
この方法では、指定商品・指定役務の表現が少し特殊であっても、実際にその内容について使用していることを証拠で示せるのであれば、早期審査を検討できます。
ただし、その分、証拠をきちんと準備する必要があります。
実務上、比較的使いやすいのがこのケースです。
特許庁では毎年、**「類似商品・役務審査基準」**などを公表しており、一般的な商品・サービスの表示が掲載されています。
例えば、そこに掲載されている標準的な商品・サービスだけを指定している場合には、出願した商品・役務の一部について実際に商標を使用していることを示せば、早期審査の対象となる場合があります。
私は、特別な指定商品・役務を使う必要がない案件では、この形が一番シンプルで使いやすいと思っています。
例えば、
「被服」
「化粧品」
「広告業」
「教育」
「小売サービス」
など、特許庁の基準にある一般的な表現で十分に事業をカバーできる場合です。
こうした案件なら、余計に特殊な指定商品・役務を作らず、既成の表示を使うことで、早期審査の要件を満たしやすくなります。
一方で、
「この特殊なサービスまでどうしても権利範囲に入れたい」
というケースでは、少し工夫が必要です。
事業によっては、特許庁の標準的な表示だけでは十分に内容を表せないことがあります。
その場合、
「このサービスも取りたい」
「この特殊な商品も指定したい」
ということがあります。
こうしたケースでは、単に指定商品・役務を書くだけではなく、
実際にその商品・サービスについて商標を使用していることが分かる証拠
をきちんと用意する必要があります。
例えば、Webサイトに具体的なサービス内容を記載しておき、
「この名称で、このサービスを実際に提供しています」
ということが読み取れる状態にしておくことが重要です。
使用の証拠としては、例えば次のようなものがあります。
などです。
特に最近では、
WebサイトやSNS
が非常に使いやすい証拠になります。
例えばサービス業なら、
SNSプロフィールに商標名が記載され、
さらに提供しているサービス内容も分かる
という状態であれば、使用の証拠として検討できます。

ここは実務上重要です。
単に、
商標名がホームページに書いてある
だけでは十分とは限りません。
その資料から、
誰が
どの商標を
何の商品・サービスについて使用しているのか
が分かる必要があります。
例えば、
出願人は株式会社ABCなのに、Webサイト上では別会社の名前しか出ていない。
あるいは、
ブランド名は載っているけれど、そのブランドが何の商品に使われているのか分からない。
という状態では、追加説明が必要になることがあります。
早期審査のために証拠を作る場合には、
審査官が見て理解できる状態
にしておくことが大切です。
早期審査を希望する場合には、単に、
「急いでください」
とお願いするわけではありません。
通常、早期審査に関する事情説明書を作成して提出します。
そこに、
などを整理して説明します。
特に特殊な指定商品・役務を含んでいる場合には、
この資料のこの部分が、この指定役務についての使用を示しています
というように、審査官に分かるように説明することが重要です。
これはかなり大きなメリットです。
早期審査を利用しても、特許庁へ支払う早期審査の追加手数料はありません。
つまり、
通常審査を早期審査へ切り替えるために、特許庁へ追加料金を払う必要はありません。
非常に便利な制度だと思います。
一方で、
「じゃあ早期審査は完全に無料なの?」
というと、代理人を使う場合にはそうとは限りません。
早期審査では、
という追加作業があります。
そのため、多くの特許事務所では、通常の商標出願とは別に早期審査申請の代理人費用を設定しています。
これは特許庁へ支払う費用ではなく、
資料を精査して、早期審査の要件を満たすよう書類を作成するための代理人手数料
です。
Amazon物販では、早期審査を利用するケースがあります。
例えば、
「商品販売のスケジュールが決まっている」
「早くAmazonブランド登録を進めたい」
「すでにブランド名を使って販売している」
といった場合です。
ただし現在のAmazon Brand Registryでは、一定の条件を満たす出願中商標でも申請できる場合があります。
そのため、
Amazonブランド登録のためなら必ず早期審査が必要
というわけではありません。
事業スケジュールや権利確定の必要性を見て、早期審査を使うか判断すればよいでしょう。
便利な制度ですが、すべての商標出願で早期審査を利用する必要はありません。
例えば、
といった場合には、通常審査でも問題ないことがあります。
早期審査は、
「早く登録したい明確な理由があるときに使う」
という考え方で十分です。
実務上、私は例えば次のような場合に早期審査を検討します。
1.すでにブランドを本格的に使っている
広告や販売を始めており、早く権利を確定したいケース。
2.新店舗・新サービスの公開時期が決まっている
看板や広告に名称を大きく使う予定があるケース。
3.第三者とのトラブルがある
無断使用、警告、交渉などがあるケース。
4.海外展開を予定している
日本での権利化を早く確定したいケース。
5.商標登録後に進めたいビジネス上の手続がある
契約やブランド展開などで早期の権利確定が必要なケースです。
商標の早期審査を利用すると、通常数か月かかる審査を、約2~3か月程度まで短縮できる場合があります。
非常に便利な制度です。
ただし、
誰でも無条件に使えるわけではありません。
重要なのは、
という点です。
特に、
Webサイト、SNS、チラシ、パンフレットなどの使用証拠を、審査官が理解できる形で整理すること
が実務上重要になります。
また、
特許庁への早期審査手数料は無料
ですが、
事情説明書の作成や証拠資料の整理を弁理士へ依頼する場合には、別途代理人費用がかかることが一般的です。
遠山総合特許事務所では、
「商標をできるだけ早く登録したい」
「早期審査を利用できるか判断してほしい」
「使用証拠として何を出せばよいか分からない」
「特殊な指定商品・役務でも早期審査を使いたい」
「Amazonや新サービスの公開に間に合わせたい」
といった段階からご相談いただけます。
現在の使用状況や指定商品・指定役務を確認したうえで、早期審査を使うのが適切か、どの資料を準備すればよいかをご提案します。
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執筆・監修:弁理士 遠山敬一
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