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【ヤクルトの容器はなぜOK?】立体商標の条件を横浜の特許事務所が世界一わかりやすく解説!

「この形を見れば、あの商品だ!」

皆さんの周りにも、思わずそう言いたくなるような特徴的な形の商品はありませんか?例えば、独特なくびれのある「コカ・コーラの瓶」や、あの小さな「ヤクルトの容器」。これらは、実は「立体商標」として法律で守られている、とても価値のある「かたち」なのです。

今回は、そんな「立体商標」について、どうすれば認められるのか、その条件をブログ構成で分かりやすく解説していきます。自社の商品やブランドを守りたいと考えている方はもちろん、デザインやマーケティングに興味がある方も、ぜひ最後までお付き合いください!

そもそも「立体商標」って何?

立体商標とは、その名の通り、立体的(3D)な形状を保護する商標のことです。

通常の商標が、ロゴマークや商品名といった平面的(2D)なものを保護するのに対し、立体商標は、商品そのものの形や、商品の容器、お店の外観など、立体的なものを対象としています。


【最重要】認められるための大原則は「見分けがつくか?」

立体商標が認められるかどうか、その最大のポイントは非常にシンプルです。それは、その立体的な形状だけで、他の商品やサービスと見分けることができるか(自他商品識別機能があるか)という点に尽きます。

つまり、消費者がその形を見ただけで、「ああ、これは〇〇社のあの商品だな」と認識できるかどうかが問われるのです。特許庁の難しい言葉で言うと「自他商品識別機能」と言いますが、要は「目印になる形か?」ということです。


立体商標として認められる2つのパターン

では、具体的にどのような「かたち」が「見分けがつく」と判断されるのでしょうか。大きく分けて2つのパターンがあります。

パターン1:形状そのものに、ズバ抜けた個性がある

一つ目は、デザインを見ただけで、誰もが他のものと見間違えようがないほど、独創的で特徴的な形状である場合です。

これは非常にハードルが高く、単に「ちょっと変わった形」というだけでは認められません。「こんな形、今まで見たことない!」と言われるくらいのインパクトと新規性が必要です。

パターン2:長年の使用で「おなじみ」の形になった

二つ目は、最初はありふれた形だったかもしれないけれど、長期間にわたってその形を使い続けた結果、多くの人々に「あの会社の形」として広く認識されるようになった場合です。

これを専門用語で「使用による識別性(または顕著性)の獲得」と言います。冒頭で紹介した「ヤクルトの容器」や「コカ・コーラの瓶」は、まさにこのパターンの代表例です。長年の販売実績や広告宣伝によって、その形がブランドの顔として定着したのです。


逆に、こんな「かたち」は認められません!

一方で、以下のような形状は、原則として立体商標として認められません。

  • 機能を確保するために「なくてはならない」形状
    • 例:タイヤの「丸い形」や、ネジの「らせん形状」。これらはその商品の機能を果たすために必然的な形なので、特定の誰かが独占することはできません。
  • ありふれた、ごく普通の形状
    • 例:ただの「立方体の箱」や「球体」。あまりにもシンプルで、誰でも思いつくようなありふれた形は、見分けるための目印にならないと判断されます。
  • 商品の特徴をそのまま表した形状
    • 例:サッカーボールの形をしたお菓子の容器など、中身を直接的に説明するだけの形状。

これらの形状は、特定の企業が独占してしまうと、他の企業が自由に商品を作れなくなり、公正な競争を妨げてしまう可能性があるため、登録が難しくなっています。


有名な立体商標の登録事例を見てみよう!

言葉だけではイメージしにくい部分もあるかと思いますので、実際に登録されている有名な立体商標の事例をいくつかご紹介します。

登録事例登録のポイント
ヤクルトの容器長年の使用により、この形が「ヤクルト」の商品であると広く消費者に認識されている(使用による識別性)。
コカ・コーラの瓶暗闇で触ってもわかるように設計された独特の曲線が特徴。これも長年の使用でブランドの象徴となっている。
KFCのカーネル・サンダース立像店頭に置かれるおなじみの立像。この像自体がケンタッキーフライドチキンを強力にアピールしている。
不二家のペコちゃん人形こちらもキャラクター人形が、店舗やブランドの目印として広く知られている例。
ホンダのスーパーカブバイクという工業製品そのもののデザインが、長年の歴史の中でホンダの製品として強く認知されている。
明治の「きのこの山」お菓子そのものの形が登録された珍しい例。文字やロゴがなくても、多くの人が「きのこの山」だと認識できる。
コメダ珈琲店の店舗外観レンガ調の壁と山小屋風の屋根を持つ特徴的な店舗デザインが、サービス(飲食店の提供)の目印として認められた。

これらの事例を見ると、いずれもその「かたち」が、単なるデザインを超えて、企業の顔、ブランドの象徴として機能していることがわかります。


まとめ

いかがでしたでしょうか。立体商標として認められるための条件を、もう一度おさらいしましょう。

  • 大原則は、その「かたち」だけで他の商品と見分けがつくこと(自他商品識別機能)。
  • 認められるには、「デザイン自体が超個性的」か「長年使われて有名になった」の2パターンが主流。
  • 機能的に必然な形や、ありふれた形はNG。

立体商標は、ロゴやネーミングと同じように、ビジネスを守るための強力な武器になります。もし、自社の商品やサービスに特徴的な「かたち」があれば、それは守るべき大切な資産かもしれません。

もちろん、実際の出願には専門的な知識が必要になるため、興味を持たれた方は、一度、この記事を書いた遠山弁理士に相談してみることをお勧めします。

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