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あなたのビジネスも危険?身近に潜む「商標権侵害」の具体例と対策を徹底解説!

「うちの会社は大丈夫」「個人でやっているから関係ない」 ビジネスを運営する上で、「商標権」という言葉は耳にしたことがあっても、その侵害についてはピンとこない方も多いのではないでしょうか?

しかし、商標権侵害は、大企業だけでなく、中小企業や個人事業主にとっても決して他人事ではありません。知らず知らずのうちに他社の権利を侵害してしまい、ある日突然、警告書が届いたり、多額の損害賠償を請求されたりする可能性も…。

この記事では、そんな「まさか!」を防ぐために、商標権侵害とは何か、具体的にどのようなケースが侵害にあたるのか、そして侵害しないためにはどうすれば良いのかを、分かりやすく解説します。

まずはおさらい!「商標」「商標権」って何だっけ?

具体的な侵害例を見る前に、まずは基本となる「商標」と「商標権」について簡単におさらいしましょう。

  • 商標とは? 自社の商品やサービスを、他社のものと区別するために使用する「目印(マーク)」のことです。具体的には、文字、図形、記号、立体的な形状、これらの組み合わせ、さらには音や色彩なども商標となり得ます。例えば、企業のロゴマークや商品名、サービス名などがこれにあたります。
  • 商標権とは? 特許庁に登録された商標(登録商標)を、その指定された商品やサービスについて独占的に使用できる権利のことです。この権利があることで、他人が無断で同じようなマークや名称を使うことを差し止めたり、損害賠償を請求したりできます。

商標権は、長年かけて築き上げてきたブランドイメージや信用を守り、消費者が商品やサービスを選ぶ際の目印となる、ビジネスにおいて非常に重要な権利なのです。

【要注意!】こんなケースが商標権侵害にあたる!具体的な事例

では、実際にどのような行為が商標権侵害と判断されるのでしょうか?基本的には、以下の条件が揃うと商標権侵害となる可能性が高まります。

  1. 登録商標と同一または類似の商標を、
  2. その商標が登録されている指定商品・指定役務(サービス)と同一または類似の商品・役務に、
  3. **事業として(業として)**無断で使用すること。

この3つのポイントを踏まえつつ、具体的な侵害例を見ていきましょう。

ケース1:有名ブランドのロゴや名称をそのまま・そっくり使う

  • 例1: 有名スポーツブランドA社のロゴマークとそっくりのマークを付けたTシャツを、自社のオンラインショップで販売する。
  • 例2: 全国的に有名なカフェチェーンB社の店舗名「Bカフェ」と酷似した「bカフェ」という名称で、同じような内装やメニューのカフェを開業する。

これは最も分かりやすい侵害例です。「パロディのつもりだった」「オマージュのつもりだった」という言い訳は通用しない場合が多く、消費者が混同する可能性があれば侵害と判断されやすいです。

ケース2:他社の登録商標と「類似」したネーミングやロゴを使用する

「全く同じじゃなければ大丈夫」というわけではありません。「類似」している場合も侵害となります。

  • 例3: C社が化粧品分野で登録している商標「ビューティフルスキン」に対し、D社が同じく化粧品(例えば化粧水やクリームなど)に「ビューティースキン・プレミアム」という名称を付けて販売する。文字面や称呼(呼び方)、観念(意味合い)が似ていると判断される可能性があります。
  • 例4: E社が提供する人気の家事代行サービスの登録ロゴと、全体の雰囲気や色使い、モチーフが酷似したロゴを、F社が新たに始めた同種の家事代行サービスに使用する。

どこまでが「類似」にあたるかの判断は専門的知識を要しますが、消費者が「あれ?あのブランドの新しいやつかな?」「関連会社かな?」と誤解してしまうような場合は危険信号です。

ケース3:商品名だけでなく、広告やウェブサイトでの使用

商標の使用は、商品そのものに付けるだけでなく、広告やウェブサイト上での表示も含まれます。

  • 例5: G社の登録商標である健康器具「パワーフィットX」を、自社が販売する類似の健康器具の広告文中に、「まるでパワーフィットXのような使い心地!」などと、G社の許可なく表示する。これにより、消費者が両社の商品を混同したり、提携関係があると誤認したりする可能性があります。

ケース4:商品・サービスのカテゴリが「類似」している場合

商標は、特定の商品やサービス(これを「指定商品・指定役務」といいます)とセットで登録されます。この指定商品・指定役務が同一または類似する場合に侵害が問題となります。

  • 例7: I社が「菓子」で登録している商標「ハッピースイーツ」を、J社が「パン」の名称として無断で使用する。「菓子」と「パン」は、商品の内容や販売場所、需要者などが近いため、類似商品群と判断され、商標権侵害となる可能性が高まります。

逆に、全く関連性のない商品・サービスであれば、同じ商標がそれぞれ登録され、共存しているケースもあります(例:自動車の「クラウン」とビールの「クラウン」など)。

ケース5:「知らなかった」は通用しない!悪意がなくても侵害に

「他社の登録商標だとは知らなかった」「わざとではない」といった言い分は、原則として通用しません。商標権侵害は、過失があっても成立します。そのため、事前にしっかりと調査することが非常に重要になります。

もし商標権を侵害してしまったら…?

万が一、他社の商標権を侵害してしまった場合、以下のような法的措置が取られる可能性があります。

  • 差止請求: 侵害行為(商標の使用など)の停止を求められます。商品の回収や看板の撤去などを余儀なくされることもあります。
  • 損害賠償請求: 権利者が被った損害の賠償を請求されます。侵害によって得た利益額などから算出され、高額になるケースも少なくありません。
  • 信用回復措置請求: 謝罪広告の掲載などを求められることがあります。
  • 刑事罰: 悪質な場合には、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科されることもあります(商標法第78条)。法人の場合はさらに高額な罰金が科される可能性があります(商標法第82条)。

ビジネスの継続が困難になったり、大きな経済的打撃を受けたりするリスクがあるのです。

商標権侵害をしないために!今すぐできる対策

では、どうすれば商標権侵害を未然に防ぐことができるのでしょうか?最も重要なのは以下の2点です。

  1. 事前の商標調査を徹底する! 新しい商品名、サービス名、ブランド名、ロゴマークなどを使用する前には、必ずそれが既に他社によって商標登録されていないか、類似の商標がないかを調査しましょう。
    • J-PlatPat (特許情報プラットフォーム): 特許庁が提供するデータベースで、誰でも無料で登録商標を検索できます。
    • 専門家(弁理士など)に相談: 調査には専門的な知識が必要な場合もあります。不安な場合は、商標の専門家である弁理士に調査を依頼するのが確実です。
  2. 他社のブランドやロゴを安易に使用しない! 「ちょっと拝借」「これくらいなら大丈夫だろう」という安易な考えは禁物です。特に有名なブランド名やロゴは、権利者も厳しく監視していることが多いです。

「もしかしたら類似しているかも?」と少しでも感じたら、使用を避けるか、専門家に相談するようにしましょう。

まとめ:他者の権利を尊重し、安心してビジネスを展開しよう!

商標権は、自社のビジネスを守る盾であると同時に、他社のビジネスを尊重するためのルールでもあります。

「知らなかった」では済まされないのが商標権侵害の怖いところです。しかし、事前にしっかりと知識を身につけ、適切な対策を講じることで、そのリスクは大幅に減らすことができます。

この記事が、皆さんのビジネスにおける商標権侵害リスクの低減と、より安全なブランド戦略の一助となれば幸いです。ぜひ、ご自身のビジネスネームやロゴについて、一度立ち止まって確認してみてください。

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