AIが作ったものって誰のもの？知っておきたい著作権のキホン

「最近よく聞くAIって、絵を描いたり文章を書いたり、すごいことができるんだって！」「でも、AIが作ったものって、著作権はどうなるんだろう？」

そんな疑問をお持ちではありませんか？

AI技術の進化は目覚ましく、私たちの生活や仕事に様々な変化をもたらしています。特に、AIが自動でコンテンツを生成するようになり、その著作権の扱いは大きな注目を集めています。

今回は、AIと著作権の気になる関係について、分かりやすく解説していきます。

まず、基本となる「著作権」について簡単におさらいしましょう。

著作権とは、思想や感情を創作的に表現したもの（著作物） を保護するための権利です。これには、小説、音楽、絵画、写真、映画、プログラムなどが含まれます。

そして、この著作権は原則として、著作物を創作した人（著作者） に自動的に発生します。特別な手続きは必要ありません。

ポイント：

では、本題の「AIが生成したもの」はどうなるのでしょうか？

現在の日本の著作権法では、AIが自律的に生成したものには、原則として著作権は発生しない と考えられています。

なぜなら、著作権法は「人間の思想や感情の創作的な表現」を保護するものだからです。AI自体は道具であり、AIが自動で生成したものは、現時点では「人間の創作物」とは認められにくいのです。

ただし、例外もあります。

人間がAIを道具として利用し、そこに人間の創作的な指示や修正が加えられている場合： この場合は、その指示や修正を行った人間に著作権が認められる可能性があります。どこまで人間の関与があれば著作物と認められるかは、ケースバイケースで判断されます。
AIが生成したものが、既存の著作物に酷似している場合： この場合は、元の著作物の著作権を侵害してしまう可能性があります。

ポイント：

AIが賢くなるためには、たくさんのデータ（文章、画像、音楽など）を学習する必要があります。この学習データには、著作権で保護されているものが含まれている可能性があります。

現在の日本の著作権法では、一定の条件下であれば、著作権者の許諾なくAI開発のための学習に著作物を利用できる とされています（著作権法第30条の4など）。これは、情報解析や技術開発を目的とする場合に限られ、著作権者の利益を不当に害さない範囲での利用が前提となります。

しかし、この規定は非常に複雑で、具体的な利用方法によっては著作権侵害と判断されるリスクも依然として存在します。特に、生成AIが学習データと類似したものを出力してしまった場合などが問題となる可能性があります。

ポイント：

では、私たちがAIが生成した文章や画像などを利用したい場合、どんなことに気をつければ良いのでしょうか？

利用するAIサービスの利用規約をよく確認する： AIサービスによっては、生成物の商用利用の可否や、著作権の帰属について独自のルールを定めている場合があります。必ず利用規約を確認しましょう。
著作権侵害のリスクを意識する： AIが生成したものが、意図せず既存の著作物と酷似してしまう可能性はゼロではありません。特に商用利用する場合は、生成物が他者の権利を侵害していないか慎重に確認することが重要です。
「AIが作ったから自由に使っていい」とは限らない： 前述の通り、AI生成物には原則として著作権が発生しません。しかし、それは「誰でも自由に使えるパブリックドメイン」という意味とは限りません。サービス提供者が利用条件を定めている場合があるため注意が必要です。
倫理的な配慮も忘れずに： AIが生成したものをあたかも自分が創作したかのように発表したり、悪意のある情報生成に利用したりすることは、法的な問題だけでなく倫理的な問題も引き起こす可能性があります。

ポイント：

AIと著作権の問題は世界中で議論されています。

アメリカ： 米国著作権局は、人間の創作的寄与がないAI生成物については著作権登録を認めていません。ただし、人間がAIをツールとして使用し、その結果に十分な独創性が認められる場合は、その人間の著作物として保護される余地があるとしています。
EU： EUでは、AI生成物の著作権に関する統一的な法整備はまだ途上ですが、AIの学習データ利用に関する著作権例外規定などが著作権指令に含まれています。

各国で法整備や判例の積み重ねが進められており、今後の動向が注目されます。