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【CMのあの音も?】音の商標とは?横浜の特許事務所が事例を交えて初心者にも分かりやすく解説!

「インテル、入ってる」「ひ・さ・み・つ!」

このフレーズ、文字で見ただけで、頭の中で特定のメロディや音が流れてきませんか?

実は、こうした「音」も、商品やサービスの「顔」として、ロゴや名前と同じように法律で守られているんです。それが今回ご紹介する「音の商標」です。

この記事では、「音の商標って何?」という基本的なところから、具体的な事例や登録するメリットまで、誰にでも分かるように解説していきます。

1. 音の商標とは?一言でいうと「音のブランドマーク」

音の商標とは、商品やサービスを他のものと区別するために使われる「音」の商標です。

私たちがお肉屋さんで「A5ランク」の表示を見て品質を判断するように、お店で商品のロゴや名前を見て「あ、これはあの会社の製品だ」と判断しますよね。音の商標は、その「音」バージョン。テレビCMやお店のBGMなどで使われる特定のメロディや効果音を聞いて、「この音は、あの会社のサービスだ!」と認識してもらうための「音のブランドマーク」なのです。

日本では、2015年4月1日から、新しいタイプの商標の一つとして、音の商標の登録が始まりました。

2. どんな音が商標として認められるの?

では、どんな音でも商標として登録できるのでしょうか?答えは「No」です。

商標として登録されるためには、重要な条件が2つあります。

① 他の商品・サービスと区別できる「識別力」があること

一番大切なのが、この「識別力」です。その音を聞いて、「ああ、あの会社(の商品・サービス)だな」と分かる必要があります。

【認められにくい例】

  • ありふれた自然音: 犬の「ワン」という鳴き声、カラスの鳴き声など。
  • 商品の機能として当然鳴る音: 炭酸飲料の「シュワシュワ」という音、目覚まし時計の「ジリリリ」というアラーム音など。
  • 単なる効果音: 注意を引くだけの「ピーンポーン」という音など。

これらの音は、誰のものであるか区別がつかないため、原則として登録が認められません。

② 独自性があり、企業や商品と結びついていること

単なる音楽やメロディだけではなく、それが特定の企業や商品・サービスを思い出させるような独自性が求められます。長年のCM活動などを通じて、消費者の間で「この音といえば、あの会社」というイメージが定着していることが重要になります。

3. なぜ企業は「音の商標」を登録するの?そのメリットとは?

企業はなぜ、わざわざ音を商標として登録するのでしょうか。そこには、主に3つの大きなメリットがあります。

  • 強力なブランドイメージを構築できる 音は記憶に残りやすく、人の感情に直接訴えかける力があります。特定の音と企業や商品を強く結びつけることで、消費者に強烈な印象を与え、ブランドイメージを効果的に高めることができます。
  • 他社による模倣を防げる 商標として登録することで、その音は法的に保護されます。もし他社が同じような音を無断で使用した場合、使用をやめさせたり、損害賠償を請求したりすることができます。自社の「音の資産」を守るために、非常に重要です。
  • 多様なマーケティングに活用できる テレビやラジオCMはもちろん、最近ではスマートスピーカーや動画配信サービスなど、「音」が中心となる媒体が増えています。視覚に頼らずにブランドをアピールできる音の商標は、これからのマーケティングにおいてますます重要性を増していくでしょう。

4. 日本の有名な「音の商標」事例集

それでは、実際に日本で登録されている有名な音の商標をいくつかご紹介します。きっと「あ、これ知ってる!」という音が見つかるはずです。

企業名音の概要登録番号
大幸薬品株式会社CMでおなじみのラッパのメロディ(正露丸)第5985746号
久光製薬株式会社「ヒ・サ・ミ・ツ」というサウンドロゴ第5984020号
インテル コーポレーション「インテル・インサイド」でおなじみの5音のメロディ第5858017号
小林製薬株式会社「ブルーレットおくだけ」の「♪ドボン」という水の音とメロディ第5882035号
イオン株式会社電子マネー決済時の「ワオン♪」という犬の鳴き声風の音第5805756号
エステー株式会社「♪エステー」のサウンドロゴ第5804565号
大正製薬株式会社「ファイトー、イッパーツ!」の掛け声(リポビタンD)第5805755号
株式会社伊藤園「お~いお茶」という声第5805757号

これらの音は、長年の使用によって、私たちの頭の中に商品や企業のイメージとして深く刻み込まれていますよね。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか。

「音の商標」は、単なるBGMや効果音ではなく、企業の顔となる非常に重要な知的財産です。

普段何気なく聞いているCMソングやサウンドロゴも、実は法的に保護された「音のブランドマーク」だと思うと、少し面白く感じませんか?

これからテレビを見たり、お店を訪れたりする際には、ぜひ「音」にも耳を澄ましてみてください。きっと新しい発見があるはずです。

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