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【知らないと危険!】TikTokでのアニメ利用は違法?横浜の特許事務所が著作権について徹底解説

「好きなアニメの名シーンをみんなにシェアしたい!」 「お気に入りの曲でアニメのMAD動画を作ってみたい!」

TikTokで大好きなアニメの動画を投稿したい、と思ったことはありませんか? タイムラインには、アニメの切り抜きやかっこいい編集をされた動画がたくさん流れてきますよね。

でも、ふと「これって法律的に大丈夫なの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、アニメの映像や音楽を権利者に無断でTikTokに投稿することは、著作権侵害にあたり、違法となる可能性が非常に高いです。

「でも、みんなやっているじゃないか」と思うかもしれません。しかし、法律は「みんながやっているから」を許してはくれません。この記事では、なぜ違法なのか、どんなリスクがあるのか、そしてどうすれば安全に楽しめるのかを分かりやすく解説していきます。

目次

  1. そもそも「著作権」って何?
  2. TikTokでよく見るアニメ動画、何が問題なの?
  3. 「引用」ならOKって聞いたけど?
  4. 著作権を侵害するとどうなるの?
  5. 安全にTikTokでアニメを楽しむための3つの方法
  6. まとめ:リスペクトの気持ちを忘れずに楽しもう

1. そもそも「著作権」って何?

まず、基本となる「著作権」について簡単におさらいしましょう。

著作権とは、小説、音楽、絵画、そしてアニメなどの「著作物」を作った人(著作者)に与えられる権利のことです。著作者が自分の作品を、他人に無断で利用されないように保護するための法律で、作品が作られた瞬間に自動的に発生します。

アニメ作品の場合、以下のような様々な要素が著作権によって守られています。

  • 映像そのもの:キャラクターが動くアニメーション映像
  • キャラクターデザイン:登場人物の見た目やイラスト
  • 音楽:主題歌(OP/ED)、挿入歌、BGM
  • セリフ・シナリオ:キャラクターのセリフや物語の筋書き

これらのものを、権利者(アニメの製作委員会、作者、音楽の作詞作曲家など)の許可なく利用することは、原則としてできません。

2. TikTokでよく見るアニメ動画、何が問題なの?

では、TikTokでよく見かけるアニメ関連の動画は、具体的に著作権のどの部分に触れてしまうのでしょうか。

ケース1:アニメ本編の「切り抜き動画」

感動的なシーンや面白いシーンを数秒〜数十秒切り取って投稿する行為です。これは、アニメの映像そのものを無断でコピーし、インターネット上で誰でも見られる状態にする行為であり、「複製権」や「公衆送信権」という著作権の侵害にあたります。

ケース2:映像と音楽を組み合わせた「MAD動画」

アニメの映像に、別の音楽を組み合わせたり、セリフを面白く編集したりする、いわゆる「MAD動画」や「AMV(Anime Music Video)」と呼ばれるものです。

これも切り抜き動画と同様に著作権侵害にあたる上、元の映像を編集・改変しているため、著作者が意図しない形で作品を改変されない権利「同一性保持権」の侵害にも問われる可能性があります。

ケース3:アニメの主題歌やBGMの利用

「音楽については、TikTokがJASRAC(日本音楽著作権協会)と契約しているから大丈夫じゃないの?」と思う方も多いでしょう。

確かにその通りで、TikTokはJASRACなどの著作権管理団体と包括契約を結んでいます。そのため、TikTokのアプリ内で公式に提供されている楽曲リスト(ミュージックライブラリ)にある音源であれば、ユーザーは許諾を得ずに利用することができます。

しかし、注意点が2つあります。

  1. CDや配信サービスから自分で取り込んだ音源(原盤)を使うのはNGです。これは「原盤権」という、レコード会社などが持つ権利の侵害にあたります。
  2. 公式音源を使ったとしても、それにアニメの映像を組み合わせれば、映像に対する著作権侵害の問題は残ります。

3. 「引用」ならOKって聞いたけど?

著作権法には、「引用」というルールがあり、特定の条件を満たせば、権利者の許可なく著作物を利用できる場合があります。しかし、この「引用」が認められるための条件は、私たちが思うよりずっと厳しいのです。

  • 主従関係:自分のコンテンツが「主」、引用部分が「従」であること。動画の大部分がアニメ映像で、コメントが少しだけ、という場合は認められません。
  • 明確な区別:どこからどこまでが引用部分か、ハッキリと分かること。
  • 引用の必要性:自分の意見を説明するために、その映像を引用する必要があること。
  • 出所の明示:作品名など、どこから引用したかを明記すること。
  • 改変しないこと:元の映像を編集・改変しないこと。

TikTokの短い動画フォーマットで、これらの条件をすべて満たすのは非常に困難と言えるでしょう。「考察」や「レビュー」目的であっても、安易に映像を使うのは危険です。

4. 著作権を侵害するとどうなるの?

もし著作権侵害をしてしまうと、以下のようなリスクが考えられます。

  • TikTok運営による措置:動画が削除されたり、アカウントがシャドウバン(投稿が表示されにくくなる)や凍結(バン)されたりする可能性があります。
  • 権利者からの請求:著作権を持つ個人や企業から、動画の削除を求められたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。
  • 刑事罰:悪質なケースでは、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(またはその両方)が科される可能性もあります。

「バレないだろう」と軽く考えるのは非常に危険です。

5. 安全にTikTokでアニメを楽しむための3つの方法

では、どうすればルールを守って、安全にTikTokでアニメコンテンツを楽しめるのでしょうか。

  1. 公式が提供・許諾しているコンテンツを使う アニメの製作委員会や出版社などが、公式のTikTokアカウントでプロモーション用に映像やエフェクト、楽曲を提供している場合があります。これら公式が「使ってOK」としているものを利用するのが最も安全です。
  2. 自分で描いた「ファンアート」を投稿する アニメの映像そのものではなく、自分で描いたキャラクターのイラストやマンガを投稿する方法です。ただし、これも厳密には「二次創作」にあたり、作品によってはガイドラインでルールが定められている場合があるため、事前に公式サイトなどを確認するとより安心です。
  3. 映像を使わずに「自分の言葉」で語る アニメの映像は一切使わず、作品の魅力や感想、考察などを自分自身の言葉や姿で語るコンテンツです。これなら著作権を侵害する心配はありません。

6. まとめ:リスペクトの気持ちを忘れずに楽しもう

今回は、TikTokでのアニメ利用と著作権について解説しました。

  • アニメの映像や音楽の無断アップロードは著作権侵害(違法)
  • 「みんなやっているから」は通用しない
  • 「引用」のルールは非常に厳しく、TikTokでの適用は難しい
  • 安全に楽しむなら「公式の素材」か「自分の創作」で

大好きなアニメだからこそ、その作品を生み出してくれたクリエイターたちへのリスペクトを忘れてはいけません。ルールを守って、後ろめたさを感じることなく、正々堂々とTikTokでの創作活動を楽しんでいきましょう!

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